本日、Evernote ブランドが新しくなりました。おなじみの「象さんのロゴ」もバージョンアップしましたので、その内容や背景について簡単にご説明いたします。
「まさか、象は無くならないよね?」
これが、Evernote 社員の誰しもが感じた疑問でした。答えを知りたくないと思った人もいたはずです。そのような大きな変更が可能性として挙がっただけで、社内には若干の緊張感が芽生えていました。他の社員に少し怪しまれながらも、私たちブランド担当チームはミーティングルームにこもり、密室でプロジェクトを進めていきました。象のロゴをやめることは間違いだと直感的にはわかっていても、象のロゴが存在しない Evernote ブランドがどのように見えるかを確認しておく必要があったのです。そこで、今回のプロジェクトに携わるデザイン会社には、既存のロゴを踏襲したデザインから完全な置き換えといえるデザインまで、あらゆるパターンの案を用意してもらうことにしました。様々な案を検討する中で、他の国における「象」マークの使われ方を調査したり、抽象的なデザインでどこまで伝えられるかを追求したりしながら、徹底的に議論しました。
今回の調査からはとても多くの意見や議論が生まれましたが、最終的には「根本的な変化」よりも「考え抜かれた進化」というアイデアを表現することに落ち着きました。Evernote のお客様、コミュニティ、および従業員からも、象のロゴに対する愛着を感じられたからです。この事実に従って、現状のロゴとワードマークの良い点と悪い点を洗い出し、これらをどのように洗練させるかの検討に入りました。
象のロゴをイメージチェンジ
まず最初に、Evernote ロゴの形状をもう少し柔らかいイメージにしたいと考えました。全体的なプロファイルに丸みを帯びせることで、バランスを整えるのです。これにより、ロゴ以外のスペースにゆとりを持たせ、最終的にロゴを囲んだ白いスペースが最適化されます。
本のページにつけた折り目や、一般的なドキュメント(文書)のアイコンを連想させる、象の耳の部分の「めくれ」を取ることも一度は考えました。しかし、これはむしろ Evernote の歴史を象徴するパーツだと考えた結果、逆に耳の「めくれ」を大きくして強調することになりました。
象の鼻の部分は「成長」を象徴するスパイラル状に曲げ、より丸くすると同時に、象のおでこの部分は「前進」をイメージし、より角度をつけました。また、象の目の部分にも手を加えました。これまでの三日月の形をした目に対しては「笑っている」か「怒っている」ように見えると言われることがあったので、親しみやすさを感じられるデザインにするために、目に落ち着きを与えました。
そして最後に、色使いを見直しました。象のロゴと緑の色は Evernote を代表する特徴であるため、この 2 つの組み合わせを残すことは大前提でした。私たちにとって意外だったのが、多くの人が「緑の象」としてロゴを認識していたことです。実は、象のロゴが緑色であったことは今までにありません。普通の象と同じように、色はグレーでした。問題は、このグレーを緑と組み合わせた時のコントラストが弱く、少し古くさい印象を与えていたことです。そこで、象のロゴを実際に緑色にすることにし、従来使用してきた色よりも純粋なグリーンに近い緑色を選びました。その後もたくさんの細かな調整を重ねた結果、全員が納得する新しい Evernote ロゴがようやく完成しました。
「EVERNOTE」の文字にはセリフ体を採用
私たちは長年、大文字のセリフ体 (serif) の書体 (Caecilia) を公式なワードマークとして利用してきました。しかし、象のロゴのデザインを今回見直したことで、力強いグリーンのロゴマークに負けないような、大胆かつバランスのとれた書体が必要になりました。
議論する中で、サンセリフ体 (sans serif) の書体への移行を検討しました。その方がモダンで、テック企業のイメージに合っていると思ったからです。しかし、実際に象のロゴの隣にその書体を並べてみると、物足りなさを感じたのです。私たちはむしろ、太いセリフ体が醸し出す文学的なイメージを気に入りました。それは偶然にも、手書き文字をデジタル化することの重要性を認識していた Evernote 創業者のステパン・パチコフの世界観にも通じるところがあります。そして最終的には、モダンな要素を随所に取り入れながらも時代を超えた良さを感じさせる、セリフ体の「Publico」という書体に落ち着きました。100% 黒色で出力され、純粋な緑色のロゴマークのアクセントになるこの書体は、信頼と明確さという Evernote の DNA にぴったりと合致します。
新しい Evernote ロゴは気に入っていただけましたか?今回のブランド刷新に関する詳細につきましては、弊社 CEO クリス・オニールによるこちらのブログ記事もぜひご覧ください。