7 月 11・12 日の 2 日間にわたり「Evernote Days 2014 Tokyo」をお台場の日本科学未来館で開催しました。Evernote が日本で開催するイベントとしては過去最大規模。各業界の第一線で活躍する多彩なゲストやスピーカーを迎えて、「記憶の未来」をテーマにさまざまなセッションが行われました。
これまでに以下のセッションをレポートしてきました。
- 脳科学者・茂木健一郎氏が語る「イノベーションの起こし方」
- 投資の世界で勝ち残るにはどうすればいいのか——投資家・藤野英人氏が語る記憶の未来とは
- ライフハッカー、ハフィントン・ポスト、WIREDの現役編集長が語ったウェブメディアの現状と将来
- 写真で振り返る Evernote Days アンバサダーセッション
- 東大寺が1200年の歴史で受け継いできたものとは——東大寺住職・森本公穣氏が語る「記憶の未来」
- 「未来へと記憶を伝えるために大切なのはビジョンを持つこと」——MIT メディアラボ副所長 石井裕 氏が語る記憶の未来
今回はその中から、Days 2 に行われた Evernote 女史会の模様をレポートします。
日本の Evernote ユーザ女性比率は 20% 弱
Evernote 女史会は、そのセッション名の通り、3 名の女性 Evernote ユーザによる対談企画。デジタルレシピ研究家の花岡貴子 氏と声優のほたかける 氏、そして Evernote マーケティングの上野美香が登壇しました。
(左から)Evernote 上野、声優・ほたかける 氏、
デジタルレシピ研究家・花岡貴子 氏
まずはお二人のプロフィールから紹介しましょう。花岡貴子さんはデジタルレシピ研究家として活躍される一方、Evernote に関する書籍も多数執筆されており、その他、競馬評論家、プログラマー、ライター、ファイナンシャルプランナーなど、様々な分野でご活躍です。
そして、ほたかけるさんは、CM やゲームなど様々なジャンルで活躍されている声優さん。学生時代から Evernote のヘビーユーザとのことで、Evernote 日本語ブログでも過去にほたかけるさんの使い方を取材させていただいたことがあります。
最後に、Evernote から上野美香。Twitter の日本でのマーケティング、ブログメディアでの編集長を歴任し、現在は Evernote でマーケティングを担当しています。
そもそもなぜ今回「Evernote 女史会」が催されたのか。
実は日本の Evernote ユーザは男性に偏っており、その比率はだいたい 2:8。もっと女性にも Evernote を使っていただきたいという思いから、今回の女史会開催に至ったというわけです。
そこでまずは、花岡さんとほたさんそれぞれの Evernote との出会いについて伺いました。
女性にとっての Evernote の魅力とは
ほたさんが Evernote を使い始めたのは、大学生のとき。大学のノートをとるのに使おうと思って始めたはいいものの、ノートPCでクライアントが動作しなかったこともあり、一度は挫折してしまいます。しかし、その後、大学生と並行して声優の仕事を始めてから、再び Evernote を再開したのだそうです。
「声優の仕事が終わってから朝まで飲んで、大学に行くみたいな生活をしていたんです。そうすると、あのデータは家に置いてきた! っていうことがけっこうあって、ちょうど研究室で与えられたマシンの性能が良かったこともあり、Evernote を再開しました」
一方の花岡さんは、Evernote を使い始めたきっかけについて「覚えていないのですが……」と前置きしつつも、「かなり最初の頃から使っていたと思います。デジタルガジェットはたいてい手を出して、気に入ったものだけを使い続けるようにしているんですが、Evernote は手放せなくなりましたね」と言います。
そんな二人が口をそろえて言うのは、「日常生活に実益があること」がポイントだということです。
「サービスそのものが好きというのもあるのですが、その先に日常をどう豊かにしてくれるかというのが大事。たとえば自分はパスワード管理が難しいと感じていて、パスワードを写真に撮って Evernote に入れています。もちろん、そういったとても重要な情報を管理する場合はオフラインノートにしたりしています」(花岡さん)
「声優は飲み会が多くて、私は幹事をやることが多いんですね。そんなときのために、飲み会の情報をテンプレートにして入れています。人数調整やお店探し、場所の指定などですね。たとえば 20 代が多いときのお店とか、ベテランが多いときのお店とか。私はそそっかしいので、Evernote に自分用のマニュアルを入れておくと失敗の穴埋めができるんですよ」(ほたさん)
ここで、お二人に共通したキーワードを発見しました。それは「Evernote を使うことで、楽になる」ということ。
「楽になるって、女性にとってすごく大事ですよね。それで浮いた時間で、もっと他のことに集中できたりしますから」(上野)
もっと女性ユーザを増やすための提案
男性ユーザが多い Evernote ですが、この「楽になる」というポイントは女性にも刺さるのではないでしょうか。では実際に人に Evernote を勧める場合、お二人はどうされるのでしょう。
「何も考えずにノートをいっぱい入れちゃってくださいって言いますね。どう使いこなそうとかじゃなくて、インポートフォルダとかに蓄積していくんです。その後にキーワード検索すると、欲しいデータが出てきます。たまった後で整理すればいいし、あとは私が”きっとエバーノートに入れただろう”ってことだけ覚えておけばいいんです」(花岡さん)
「まずはメモをとるところからやってみたらって言いますね。だんだん使いこなして、成長する姿を見るのが好きです(笑)」(ほたさん)
「Evernote 社員の奥さんにもフリーランスで英語を教えている方がいるのですが、使ってみたらとても便利で、今は旦那さんより使っているって方もいます」(上野)
もちろん、プライベートだけでなく、ビジネスでも Evernote は役立ちます。働く女性でもある花岡さんやほたさんは、仕事で Evernote をどのように活用されているのでしょうか。
「私は Evernote の用途としては、仕事が 7、プライベートが 3 くらいですね。取材では写真やメモを入れたりしていますが、仕事とプライベートで分けることもなく、ぐちゃぐちゃですね(笑)」(花岡さん)
「声優って、原稿が差し替わることもよくあるんですよ。そこで、最初の原稿をバージョン 1 として入れておいて、次に差し替わったものをバージョン 2 として入れておきます。そうやって原稿を管理するのに使ったり、あとは自分が演じたキャラクターのデザインを入れていますね。請求書を送るときに自分が演じたキャラの絵を描いて送るのが好きなんですけど、そのための参考イラストがネットにはなかったりすることも多いので、最初に設定資料をいただいたときに入れておくんです」(ほたさん)
仕事、プライベートを問わず、Evernote を使いこなしているお二人。では、今後女性ユーザがもっと増えるために、Evernote はどうなっていけばいいのでしょうか。
「Evernote って敷居が高いとみなさんおっしゃるんです。頭の良い方や、著名な作家さんでも、どう使っていいかわからないって言われます。とっかかりがないと難しいのかもしれませんね。なので、超シンプル版の Evernote があってもいいかなと思います。らくらくスマホみたいな(笑)」(花岡さん)
「Evernote のスキンが出るといいですね。かわいい方が女性には良さそう。Evernote って使っている方にビジネスマンが多いので、どうしてもメッセージが”ビジネスのソリューション”とか、そっち向けになりますよね。そういう言葉を使うと、女性は私に対する文化じゃないなって引いちゃうかもしれません。”段取り上手になれる”みたいなメッセージとしてまとまっている方がいいですね」(ほたさん)
その他、セッションでは女性のための Evernote の使い方のアイデアがたくさん出されました。たとえば Excel のひな形やハンコをスキャンしたものを入れておいたり、癒し系の画像を入れたノートを作ったり、落ち込んだときに見て元気づけられるノートを用意しておいたり。
なんでも入れられる Evernote だからこそ、日常生活のあらゆる部分で女性をサポートしてくれる。そんなことが改めて発見できたセッションとなりました。