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投資の世界で勝ち残るにはどうすればいいのか——投資家・藤野英人氏が語る記憶の未来とは

fujino

7 月 11・12 日の 2 日間にわたり「Evernote Days 2014 Tokyo」をお台場の日本科学未来館で開催しました。Evernote が日本で開催するイベントとしては過去最大規模。各業界の第一線で活躍する多彩なゲストやスピーカーを迎えて、「記憶の未来」をテーマにさまざまなセッションが行われました。

20 を超えるセッションの中から、前回は脳科学者・茂木健一郎氏の講演内容をご紹介しましたが、今回は、レオス・キャピタルワークス株式会社 取締役・最高投資責任者(CIO)藤野英人 氏による基調講演「投資家が語る記憶の未来 “Memory is Money?”」をレポートします。

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藤野氏は 1990 年に早稲田大学法学部を卒業後、野村投資顧問(現 野村アセットマネジメント)に入社され、ジャーデン フレミング投信・投資顧問(現 JP モルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、レオス・キャピタルワークスを設立。大学講師としても活動しながら投資や会社経営などに関する書籍を多数執筆されるなど、多方面で活躍されている投資家です。

そもそも「投資」とは何でしょうか。

藤野さんは「Bulls & Bears」(牛と熊)という言葉で「投資」を表現します。

「ニューヨーク証券取引所の入り口には牛と熊の像が建てられています。牛は攻撃するとき、下から上に突き上げて、熊は上から下へと腕を振り下ろしますよね。これは株価を表しているんです。牛は強気で熊は弱気を表しているんですよ。株は”買い”と”売り”が結合しないと売買が成立しません。牛と熊が死闘を繰り広げる。これが”マーケット”なんです。もっとも、株式市場には 3 匹目の動物——ダック(鴨)——がいるとも言われていますけどね」

牛と熊、すなわち”買い”と”売り”がマーケットを形成する株式市場ですが、藤野さんは「マーケットは宇宙」という認識を持っているそうです。

「日本だけでも 3,550 社が上場しています。世界のあらゆる情報が株式市場にあり、株価が毎日上下する様はまるで宇宙です。宇宙を相手にどう立ち向かい、あるいは共存して株式投資を成功させるのか。2000 年頃からインターネットが本格的に普及して、お金が世界をぐるぐる回るようになりました。投資の世界においてグローバル化の進展は、ネットの普及と強い関係があります。投資とインターネットの世界はどんどん結合していて、IT サイドの人が投資の世界に入ってくることもあるし、その逆もあります」

インターネットと結びついて、グローバル化が進んだ投資の世界。そんな混沌とした世界でも、毎年のように成功する投資家がいると藤野さんは言います。たとえばジム・ロジャーズやウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ピーター・リンチといった人々です。一般的に「ギャンブル」だと思われがちな投資の世界で、なぜ彼らは勝ち続けることができるのでしょうか。

「どんなに成功している投資家でも、一瞬にして破綻することはあります。たとえば 2005 年のクリスマス前後には、ホリエモンバブルがありました。2006 年 1 月にホリエモンが逮捕されて、株式市場に変調が起きました。一攫千金の夢もあるけど、失敗するとすべてを失う可能性もあるのが株式投資です。しかし、その中でも長期的にリターンを得ている人がいます。まぐれかもしれませんが、しかし運だけで成功はできません。一発だけ成功しても継続は難しい。だからこそ、彼らからは学ぶことがあるのです」

株価の変化で利益を上げていくのが株式投資。ではそのためにどういう情報が必要なのでしょうか。藤野さんは、株式投資について具体的に 2 つの分析があると説明します。

「一つはチャート分析。株価の動きや形に注目するやり方です。もう一つはファンダメンタルズ分析。会社の会計など数量化できる情報を集めて、会社の本質を見極め投資するやり方です。そして最近、3 つ目のやり方が出てきています。Twitter や Facebook での言葉を見て投資をする方法です。ネガティブな言葉が増えてくると株価が下がり、ポジティブな言葉が増えてくると株価が上がると判断して投資を行うのです。これが第三の波として、大きな成果を上げつつあります」

では、R&I ファンド大賞を 3 年連続で受賞するなど輝かしい実績を持つ藤野さん自身は、どんな方法で投資を行っているのでしょうか。藤野さんは、自らの投資哲学を「長期的には利益と株価は一致する」という言葉で表します。

「EPS(会社の利益)× PER(株価収益率)という式がありますが、多くの人は PER を気にします。しかし、日経平均の予測を当て続けられる人はいません。私はそうではなく、この会社は伸びるのではないかという予測をしています。というのも、長期的に見ると、営業利益のトレンドと株価のトレンドはほぼ一致するからなんです。伸びている会社を見つけるのも難しいのですが、日経平均を予測するよりは簡単です。成長する会社に投資をすることが成功の秘密です。投資は日経平均の先行きを占うギャンブルではないのです」

成長する会社を見極めることが投資のカギであると語る藤野さんは、原則として「社長に会って投資をするかどうかを決める」そうです。しかし、ここでもう一つの重大な問題があると言います。

「社長は嘘をつくものなんです。嘘といっても様々で、誇張することもそうですし、本来言わなければいけないことを言わないというのも、広い意味では嘘です。IR 担当者も嘘をつきます。なぜなら会社のことを良く思ってもらいたいから。情報とはそういうものなのです」

藤野さんは「人間は自分に嘘をついて記憶を書き換える。メモリーはファクトではない」と言います。

「社長にインタビューしても、社員に会社のことを聞いたとしても、そこにはファクトの一部しかありません。多くの人たちが少しずつ本当のことを話し、少しずつ嘘をつくからです。大事なのは、そこに”確からしさ”を求めることです。ケインズの言葉で、『玄人の投資は、投票者が 100 枚の写真の中からもっとも美しい 6 人を選び、その選択が投票者全体の平均的な好みにもっとも近かった者に賞品が与えられる美人投票に見立てることができる』というものがあります。投資は、”皆が美人だと思うものを当てないといけない”のです」

最後に投資の極意について、藤野さんは次の 4 つの心構えを紹介しました。

・傲慢は敗北のもと
・安全は最善ではない
・果敢にリスクをとる
・素直

これらは成功の十分条件ではありませんが、必要条件ではあるとのこと。そのためには情報、そして記憶することが大切だと藤野さんは結論付けています。

「メモリーは真実ではありません。メモリーは”あなた”であり、そこにメモしたすべては”わたし”です。メモリーは未来であり、メモリーの集積が未来を呼ぶのです」

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