5 月 27 日、ベルサール六本木にて、「モバイル時代の企業経営 Evernote と Salesforce で築く働き方の変革」と題したセミナーを開催しました。当日は多くのお客様にご来場いただき、Salesforce 連携デモンストレーションやユーザ企業やパートナー企業様による講演、Evernote Business セッションなどを行いました。
前回記事ではフィルの講演内容をレポートしましたが、本記事では各企業の皆様による講演、及び Evernote Business セッションの内容をレポートしていきます。
Salesforce と Evernote の連携
最初に登壇されたのは、株式会社セールスフォース・ドットコム専務執行役員 アライアンス本部長 保科 実 様と、テクニカルエバンジェリスト 中嶋 一樹 様。
保科様はまず、Salesforce について「創業から 15 年、クラウド一本でやってきました。クラウド市場のマーケットシェアは No.1 であり、日本でも約 7,000 の企業に利用していただいています。2011 年から 2013 年まで 3 年連続で、Forbes 誌が選ぶ”もっとも革新的な企業”にも選出されました」と説明。
そんな保科様が見る現代は、「コンピューティングの第 3 の波」が訪れている時代だといいます。クラウドサービスの発達や様々なデバイスの普及、そして高速通信が可能になったことで、500 億もの”モノ”がつながる時代になったのだとか。
ではそうした時代で「カスタマーカンパニー」を実現するためにはどうすればいいのでしょうか。保科様の掲げるキーワードは、「つながる」というもの。たとえば「顧客とつながる」や「パートナー企業とつながる」、「社員同士がつながる」といった具合に、つながることで様々なコミュニケーションを改善すべきだと保科様は述べています。
Salesforce と Evernote の連携はまさにそうした「つながる」ことをスムーズにするものです。ここからは実際の画面を映しながら、Salesforce と Evernote の連携デモンストレーションが行われました。
たとえばミーティングの議事録を Evernote でとったとして、そのノートをチームで共有するためにはどうすればいいでしょうか。これまでだと、ノートの URL をメールなどで共有する必要があったわけですが、Salesforce と Evernote が連携したことで、Salesforce 上から直接 Evernote にアクセスできるようになったのです。これなら、ノートを書いた瞬間にチームで議事録を共有することができます。
「情報をメールで受け取ると、どうしても受動的になります。メールでは受け取る情報を選べませんから」と保科様は言います。
また、情報共有のために社内システムを作り、それを社員に使わせることについても、保科様は「社員にとって楽しいものではありません」と述べています。
「自分が今まで使っていたツール、たとえば Evernote をそのまま使って仕事をすればいいのです」
Salesforce と Evernote の連携により、それが可能になったのです。
“非構造化データ”が Evernote の強み
続いて登壇したのは、Evernote Japan の代表である井上 健。約 2 年前に国内企業から Evernote に入った井上は、日米の企業カルチャーの違いを肌で感じたと語りました。
「日本はホワイトカラーの生産性が非常に低いことを実感しました。アメリカ企業は業務の効率化に対して徹底的に取り組みますが、日本はそうではありません。たとえば Evernote では 350 人ほどの従業員が世界 10 の事業所で働いていますが、そのうち、経理・財務を運営しているメンバーはたったの 3 人です。そのような効率的な業務が可能なのは、会計や経費精算などの各分野に特化したクラウドサービスを使いこなしているから。セールス、サポート、人事など、あらゆる業務で同様にクラウドを活用しており、業務効率への取り組み方が日本とアメリカではまったく違っているのです」
これは、「人の問題ではなく、システムの問題」だと井上は続けます。ではどのようにシステムを改善していくべきなのか。
井上は、「企業で扱っているデータには、顧客管理やレポートなど、フィールドに数値を打ち込んでいるような”構造化されたデータ”と、名刺や音声ファイル、写真やスキャンしたドキュメントなどの”構造化されていないデータ”の 2 種類がある」と述べ、このうち大半を占めるのは後者であると指摘します。
そして、Evernote がもっとも得意とするのが、この”構造化されていないデータ”の扱いなのです。
「Evernote はワークスペースであり、すべてを扱える場です。従来の Evernote は個人利用のために作られていましたが、Evernote Business ではそれを企業・組織に拡張しています」
Evernote Business の特徴
では具体的に、Evernote Business にはどんな特徴があるのでしょうか。ここからはビジネスアカウントマネージャーである積田 英明より、具体的な導入事例を交えて説明させていただきました。
Evernote Business の特徴は、「蓄積」「発見」「協力」「伝達」という 4つの項目で表せます。
たとえば原宿に店舗を展開する印刷サービス「HappyPrinter」では、新規店舗を立ち上げるための情報共有ツールとして Evernote Business を導入していただきました。
同社にとって Evernote Business は、店舗運営のマニュアルや写真などのデータを「蓄積」し、それらを強力な検索機能でいつでも「発見」できるツールです。
また、他社と情報を共有するための「協力」のツールでもあり、受注や見積もりといったフローをスタッフに「伝達」するための手段でもあります。
このように、ビジネスにとって必要な「蓄積」「発見」「協力」「伝達」の 4 つの機能を備えているのが、Evernote Business の特徴なのです。
さらに興味深いのは、「常総生活協同組合」での導入事例です。
「常総生活協同組合」では、営業担当が受注した商品を、配送員が分刻みで配送するというワークフローで業務を行っています。
配送員は配送の途中で新築物件を見つけたら、その情報を営業担当と共有する必要があります。なぜなら、新築物件には県外から引っ越してきた人が住む可能性が高く、見込顧客につながるからです。
しかし、配送は分刻みのため、いちいち会社に戻る時間はありません。そこで、配送員の方はそうした情報を営業担当に伝えるのため、帰社した後で紙に書いて共有していたのだといいます。
Evernote Business を導入後、そうしたワークフローはがらりと変わりました。配送員の方は、新築物件を見つけたらタブレットで写真を撮り、Evernote Business で共有するようにしたのです。また、Evernote Business には位置情報をマッピングする機能があるため、地図情報も一緒に即時共有できるようになり、新規の見込顧客と売上が増加したといいます。
この他にも、バイク用品の販売を行っている株式会社クシタニや品川女子学院など、様々な業界で Evernote Business をお使いいただいています。
構造化データと非構造化データが一元化できて効率的に
続いてはユーザ企業を代表して、アイレット株式会社の cloudpack 事業部 エバンジェリスト 後藤 和貴 様より導入事例をご紹介いただきました。アイレット株式会社は、アマゾンウェブサービス(AWS)のプレミアコンサルティングパートナーとして運用や保守を行っています。
かつては Evernote と Salesforce を個別に導入して使っていたという後藤様ですが、今回の連携で「構造化データと非構造化データが一元化できて効率的になりました」といいます。
つまり、Salesforce で扱う「顧客管理」や「目標管理・数値化」などは「構造化されたデータ」であり、Evernote で扱う「名刺データ共有」や「議事録」は「非構造化データ」であるということです。これら得意分野の異なる Salesforce と Evernote が連携したことで、「自然な形で情報融合を実現できました」と後藤様は語っていました。
個人のナレッジをビジネスに生かせるのが Evernote Business
最後は、Evernote がスタートアップ企業であった頃からパートナー企業としてご協力いただいている NTT ドコモの法人ビジネス戦略部長 松木 彰 様にご登壇いただきました。
この度 Evernote Business の販売代理店契約を締結した NTT ドコモが、そもそも Evernote をサポートしていただけることになったきっかけとして、松木様は「Evernote の”いつまでも”というコンセプトに共感したから」と語り、「個人的にも2009年から使っています」と述べられました。
また、「 Evernote はなぜビジネスでも強いのか?」という点については、「プライベートの知識」と「会社全体の知識」が重なる部分を「仕事に生かせる知識である」と定義した上で、個人のナレッジがそのままビジネスに生かせるのが Evernote Business の特徴」だと語られました。
Evernote Business は Salesforce との連携を通して、皆様のビジネスを加速させるお手伝いを今後も続けていきたいと考えています。