4月20日、Evernote主催のブロガーイベント「Evernote Japan Meetup」を開催しました。多くのEvernoteユーザー、ブロガーのみなさんにご来場いただきました。ありがとうございました!
まずCEOフィル・リービンから、Android版Evernoteの製品アップデートや日本市場の伸びなどの発表を行った後、ゲストにコンセプター坂井直樹さんをお招きし、クリエイターとしての立場から「アウトプット」をキーワードにEvernoteの使い方についてお話を伺いました。
フィルによるプレゼンテーション
先月の東日本大震災についてフィルは「非常に心を痛めています。私たちは小さな会社ではありますが、できることを4つ考えて実践しました」と語り、その4つの支援の内容を次のように説明しました。
- Evernoteを活用して再興に役立てていただくため、震災翌日に日本の全ユーザーを、無償で1ヵ月間プレミアムアカウントへアップグレードした
- 3月のプレミアム会員からの収入全額を、Japanese Cultural and Community Center of Northern Californiaを通じて被災地の復興に寄付することを決定
- Japanese Cultural and Community Center of Northern Californiaのバナーを、Evernoteの広告枠内に表示した。このバナーは現在までに400万回見られている
- モバイルで共有ノートブックを活用していただくため、Evernote for Androidの開発途中版を震災数日後に提供(※ 現在はEvernote for Android 3.0 がリリースされています)
また「このように困難な時代ではあるが、コンシューマソフトウェア会社にとっては最高の時代でもある」と述べ、その理由として次の5つの要因を挙げました。
- AppStoreの登場により、サービスを即座に流通させることができるようになった
- クラウドサービスの台頭により、以前のようにデータセンターをどうするかというようなことで悩まなくなった
- 以前は技術的なインフラを作るだけで何千万ドルもかかったが、今はオープンソースインフラストラクチャーのおかげでそれらは無償で手に入るようになった
- ソーシャルメディアの台頭により、ユーザーへのリーチが容易になった
- フリーミアムエコノミクスにより、大手企業が同じものをもっと安価に出してくることに怯えることがなくなった
こうした5つの要素から、フィルは「ギークメリトクラシー」(ギークは“卓越した知識がある”という俗語、メリトクラシーは“実力主義”の意)という造語を掲げ、「ギークの熱意があれば成功できます。日本はギークの国であり、デザインや美しいものへのこだわりがこれほど強い国は他にありません。ギークこそが日本を再興へと導き、世界を牽引するでしょう」と熱く語りました。
4/20にリリースされた「Evernote for Android」の大幅なアップデート。共有機能を始めとする多数の新機能が追加されました。このアップデートは「パーソナルな情報スペース」であるEvernoteと、「ソーシャルな情報スペース」であるソーシャルメディアをいかに結びつけるかを考えた結果であり、今後はFacebookやTwitter、mixiなどとの融合を進めていくという方向性を示しました。
さらに「Evernote Web」と「Evernote for Windows」のアップデートや、ネットワークインフラにおいて全面的にNTTコミュニケーションズを採用したことなどを発表。最後に近い将来「Evernote for Mac」や「Evernote for iPad」のアップデートも続けて行う予定だと語り、プレゼンテーションを締めくくりました。
ゲストトーク: 坂井直樹さんが登場
日産「Be-1」デザイン、au携帯の社外デザインプロデューサーなどで知られる著名な“コンセプター”であり、かつEvernoteのヘビーユーザーでもある坂井さん。今回はクリエイターとして、どうアウトプットに結びつけているかというところに焦点を当て、お話を伺いました。
まず坂井さんは、ご自身のライフスタイルについて「1週間のうち、自宅、会社、大学に2日ずついるんですよ。だからEvernoteのおかげでデータを持ち歩かなくていいのが助かっています」と語り、「Evernoteは一言でいうと知識を蓄えている沼のようなもの」と表現。また、「良いアウトプットをするためには質の高いインプットをしなければならない。僕は1日10時間くらいは情報集めている“変態”なんです(笑)」と自身が“情報魔”であると楽しそうに話していました。
坂井さんが現在取り組んでいる代表的なものは、Android OSが組み込まれたGPS付きの杖のデザイン・製作。これがあれば、お年寄りやハンディを持った方が盲導犬なしで交通状況をスキャニングしながら歩けるようになるとのことで、今年中には発売する予定で進めているのだといいます。
「40 for the Next 40」(今後40年を考えるための40のコト)というプレゼンテーションでは、坂井さん自身が「今まさに興味深いと思っている情報」がいくつも飛び出しました。それはたとえば震災時に漫画家の水木しげる氏が描いたイラストであったり、電動三輪車アプテラであったり、Androidがこの2年間でどう展開していったかを表した図であったりと、ジャンルは実に多種多様です。
※ 坂井さんのプレゼンテーションスライドから一部抜粋・引用
そしてこのアイデアやプレゼンテーションといった”アウトプット”はすべて、Evernoteに保存されている情報を組み合わせて作ったとのこと。「面白い情報は何となく分類して、何に使うかとかは考えずにとりあえずEvernoteに放り込むんです。従来だと仕事をするのにまずテーマが決まってから情報を探すわけだけど、今はEvernoteから情報を選んで、それでも足りないものを探すというプロセスに変わりましたね」
1日10時間情報を探してEvernoteに保存しておくのは、アウトプットとして形にするため。その時に何に使うかわからない情報でも、後からアウトプットのテーマが決まったところで、Evernoteを探すだけで素早くプレゼンテーションにまとめることができるようになったそうです。坂井さんのアウトプット制作時間は以前に比べて格段に早くなったのだとか。
坂井さんご自身のEvernoteの画面を見せてもらいました。「社員にも学生にも自分のEvernoteのアカウントそのものを共有しているので、僕が今何を考えているのかは彼らにもわかるようになっているんです」
坂井さんのお話の後は、会場に集まったブロガーたちとパートナー企業による懇親会が開かれ、プレゼント抽選会も催されるなど最後まで盛り上がりを見せたイベントとなりました。
次回のMeetupもお楽しみに!