すでに当たり前になりつつある在宅勤務。従来のオフィス勤務では為し得なかった柔軟な働き方が可能になりました。2021 年に FlexJobs が実施した調査によると、実に会社員の 97% (英語記事) が完全なリモートワークまたはハイブリッドワークを希望しているそう。数々のメリットを考えると、それも驚きではありません。
しかし、オフィスワークからハイブリッドワークにスムーズに移行するには、しっかりとした環境作りが欠かせません。そのためには事前の計画やさまざまな調整が必要になります。なかでも大切なのは、集中できるスペースと適切なツールを準備すること。今回紹介するヒントを参考に、自分に合ったハイブリッドワーク環境を作り上げ、ストレスを減らし、能力を最大限に発揮しましょう。
エキスパートのヒント: 「働く場所が 2 つに分かれているなら、クラウドベースのデジタルストレージは不可欠です」(Evernote エキスパートの Sara B. Genrich さん)
目的意識を再確認する
新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中で働く人たちの意識が変わりつつあります。月末の給与明細の数字よりも、自分の価値観に合った、やりがいや喜びのある仕事をしたいと考える人も増えました。私たちは一生のうち平均 90,000 時間を仕事に費やすのですから、人生の目的意識の大部分を仕事に見出す人が多いのも不思議ではありません (英語記事)。
この点を踏まえて、ハイブリッドワーク環境においても、社員側と経営者側の両方から目的意識を大切にするアプローチを取りましょう。
社員側のアプローチ
- 会社の理念と自分の価値観の共通点を見つける。自分の価値観や理想を、会社で行っている仕事に結びつけることができると、帰属意識が高まります。また、目の前のタスクについても、最終的なキャリアゴールや個人的な目標に必要なステップとして考えられるようになります。
- 自分の仕事が与える影響を考える。今行っている仕事を会社を組み立てるパーツだと考えてみてください。その仕事は、同僚や会社全体、あるいは会社の顧客にどのような影響を与えていますか。俯瞰的な視点から見てみることで、仕事への情熱を発見したり、再確認したりできます。
経営者側のアプローチ
- 会社のミッションを明確に定義する。明確でないものに対して情熱を抱くのは難しいもの。社員が情熱を感じられるように、会社としてのミッションを定義し、その土台となる価値観を全社的に共有しましょう。そうすることで、社員は大きな目的意識を持って仕事に取り組むことができます。
- 社員の声を定期的にヒアリングする。全社的なイニシアチブを行う際は、できるだけ社員を巻き込み、意見を吸い上げるようにしましょう。それにより、個々人が会社に与える影響や、それぞれが果たす役割が可視化され、全員のやる気につながります。
生産性ツールを活用する
従来のオフィスにさまざまな機器が備え付けてあったのと同じように、ハイブリッドワークでも環境を整えることが大切です。チームが同じ場所やタイムゾーンにいるとは限らない勤務形態では、共同作業を促進するためのデジタルソリューションが欠かせません。
以下のような生産性ツールを使って、ハイブリッドワークでもチームの共同作業を成功させましょう。
- 文書管理システム: Google ドライブや Dropbox といったオンラインストレージを活用することで、重要な社内ファイルをメンバー間で安全に共有できます。また、オフィスで働いているメンバーと自宅から働いてるメンバーが同じ情報にアクセスできるため、認識がずれたり仕事が滞ったりすることもありません。
- 会議プラットフォーム: Zoom、Slack、Microsoft Teams といったコミュニケーションツールを使用することで、チームの足並みを揃えられます。ほとんどのツールがプライベートチャットやグループチャット、ビデオ会議の機能を備えており、遠隔でのコミュニケーションをスムーズに行えます。
- ノートアプリ: Evernote のようなツールを使えば、社員は簡単に議事録を取ったり、タスクに関する情報を記録したりできます。重要な情報を一か所に集約し、いつでも必要な時に検索して参照できます。
使いこなしのヒント: Evernote は Google ドライブ、Microsoft Teams、Slack、その他人気ツールと接続できるので、いちいちアプリを切り替えなくても必要な情報にアクセスできます。そのため、情報の記録もチームへの共有も驚くほど簡単。さらに、Evernote は Google カレンダーとも接続できるので、仕事の予定もプライベートの予定もまとめて管理できます。
時間ではなく成果を評価する
在宅勤務の最も大きなメリットは、社員が自分でフレキシブルにスケジュールを決められる点です。一方で、個人の裁量にまかせられた環境でどのように生産性を維持するかは、会社にとって大きな課題です。それを解決するのが成果にフォーカスする戦略です。
パソコンの前に座っている時間ではなく、成果重視のハイブリッドワーク環境を作るには、以下の点を考慮しましょう。
- 毎日の目標成果物を設定する。毎日仕事に取りかかる前に、その日に完了するつもりのタスクをリストアップしましょう。これにより、時間をフレキシブルに使いつつ、一定の仕事量を達成できます。
- 成果指標を活用する。リーダーやマネージャーは、チームの生産性を測定するための成果指標をしっかり定義しましょう。そうすれば、各社員はやみくもに働くのではなく、求められている成果を理解したうえで、効果的に自分の仕事に取り組めます。
- 定期的に業務状況を確認する時間を取る。マネージャーは定期的にビデオ会議やオンラインコールを設定して、作業進捗と各自の責務について可視化しましょう。定期的にこうした時間を取ることで、チームの足並みも揃えられますし、常にメッセージをやりとりする必要がなくなります。
使いこなしのヒント:Evernote のタスク機能を使えば、日々のタスクを関連情報と同じ場所で簡単に整理できます。さらに、繰り返しのタスクで、期日やリマインダーを設定すれば、定期的に発生するルーチンタスクをうっかり忘れることもありません。
柔軟性を活かすための枠組み
ハイブリッドワークは社員にも経営者にもメリットがあります。社員は通勤時間を減らし、快適な自宅から仕事をすることができ、経営者にとっても社員の生産性と意欲が高まることで業績向上が見込めます (英語記事)。しかし、なにもかもが柔軟すぎる環境だと、仕事を先延ばししたり、無駄な残業をしたり、コミュニケーションがスムーズにとれなかったりする弊害が懸念されます。事実、会社員の 10 人に 6 人が、ある程度の枠組みがあるハイブリッドワークを希望しています (英語記事)。そのためには、チームの連携方法やリモートワークのガイドラインを決めたり、ワークフローや指揮系統を標準化したりする必要があるでしょう。どのような形にせよ、全員に対して一定の枠組みを設定することで、クリエイティビティや生産性を犠牲にすることなく、個々人が自立して仕事に取り組めるようになります。
使いこなしのヒント: 自由すぎる環境は時に重荷になりえます。Evernote のホーム画面を使って、プロセスを最適化し、必要な情報を見やすく集約しましょう。ホーム画面は、ノートやタスクなどの各種ウィジェットや様々なショートカットを使って、自分の仕事のやり方に合わせてカスタマイズできます。
適切なツールが、適切な結果を生む
世界中で広がった在宅勤務。当初は COVID-19 への対策として始まりましたが、皆が徐々にこの働き方に慣れてメリットを実感するにつれ、今後もハイブリッドワークを採用する企業が増えることは想像に難くありません。「ニューノーマル」に取り残されないためには、ハイブリッドワークを効率化するためのツールが必要です。信頼できるコンピュータ、安定したインターネット回線、仕事専用のデスクスペースに加えて、日々のタスクをすっきり整理するデジタルソリューションも導入しましょう。そうすれば、キャリアのゴールだけでなく、プライベートのタスクも管理して、充実した毎日を送ることができるはずです。