マラソンランナーや登山家と同じように、多くの人が「自分にはできる」ことを証明するために、毎年 11 月に開催される NaNoWriMo(National Novel Writing Month: 米国の全国小説執筆月間)に参加しています。
当初 NaNoWriMo は、1 か月間で 50,000 ワードを執筆するチャレンジとしてスタートしました。NaNoWriMo のウェブサイト (英語) にあるように、「世界中の何千もの人たち…(中略)月初には小学校の先生や整備士、専業主婦・主夫だった人たちが、月末には作家になったのです」。
NaNoWriMo では最後まで書き遂げた人全員が勝者となりますが、だからと言って簡単に勝者になれるわけではありません。挑戦を恐れない勇気と、しっかりとした準備と、毎日書き続ける決意が必要です。50,000 ワードを 30 日で書くとなると、1 日にあたり 1,667 ワードの計算です。まさにマラソンです。NaNoWriMo に参加して熱中症になった人は(私の知る限り)いませんが、完遂するためには下準備と計画性が欠かせません。
普段から本の虫で、今年のチャレンジに参加しようと思っている方は、是非 Evernote をご活用ください。アイデアやインスピレーションの収集から、リサーチした内容の整理、スケジュールの管理まで、執筆プロセスをスムーズにする機能が揃っています。情報収集をはじめとする周辺作業を効率化することで、貴重な時間を実際の執筆に当てられます。
テンプレートで時間を節約

「とにかく書いてみることでとても良いアイデアが生まれることもあるけれど、ほとんどの場合は、『どうしたいのか、どのような結末にしたいのか、どう始めるのがよいか』と腰を据えてじっくり考えた時のほうが良いものが書ける」
—J・K・ローリング
ハリー・ポッターシリーズでローリング氏が細部まで緻密に築き上げた世界観には舌を巻くばかりですが、彼女のノートを見れば、あの世界の様々な要素を創り出すのにどれほど綿密な計画が必要だったかがわかります。本の軸となるテーマを決め、一章ずつ矛盾なくプロットを展開し、読者を最後まで惹きつけて離さない物語の裏には、これだけの算段と労力があるのです。
こうした計画を立てるのも、Evernote を使えば効率化できます。Evernote では多彩なテンプレートを利用可能で、創作や執筆用のものも用意されています。
- 物語のプレミスワークシート — ブレインストーミングやアイデア出し、物語のプロット考案にご利用ください。時代や時系列、主人公の背景や求めるもの、直面する問題や困難などを決めておけば、ストーリーを書き進めやすくなります。
- キャラクター設定 — キャラクターについて知れば知るほど、その人物を描写しやすくなります。自分のキャラクターがどのような生い立ちを持ち、どのような考え方をするのかを理解することで、リアリティのある行動や感情を描くことができ、読者を惹きつけられます。
- プロット: 3 幕構成 — このテンプレートは上の 2 つより大まかなものですが、物語の展開を決めてアイデアを書き込んでおくことで、迷いなく筆を進められます。
テンプレートの紹介は以上です。他にも、世界観の構築から書き上げた本の自費出版まで、クリエイティブライティングに使えるテンプレートが各種用意されていますのでご利用ください。無料のテンプレートはこちらからダウンロードいただけます。
使いこなしのヒント: J・K・ローリング氏のように独自のストーリープロットを作成したい場合は、Evernote に空白の新規ノートを作成し、表を挿入しましょう。各列に物語のメインテーマを割り当てて、各行を各章に割り当て、詳細を記入していきます。Evernote で計画すれば、後から修正液を使う必要もありません。
すべての情報をすっきり整理
短編やブログ記事を書いているのであれば、1 つのノートに書き込むので十分でしょう。しかし長編小説となると、様々な資料や情報を行ったり来たりして参照する必要がでてきます。
そこで、小説の題名を付けたノートブックを作成しましょう。そしてそのノートブックの中に、各章の題名をつけたノートを作成します。さらに(ここからがポイントです)、目次用ノートを作って各ノートをリンクしておけば、全体を把握するのも簡単で、ワンクリックで各章の詳細に移動することができます。また、章のノートを追加すると Evernote が自動的にナンバリングしてくれます。
全体を一目で確認する
Evernote は、長年にわたりライターに愛用されてきました (英語記事)。Evernote のノートブック、ノート、タグという構成は、書籍の表紙、章、目次と似ています。
そして最近さらに、ホーム画面、タスク、カレンダーという機能が加わり、優れたツールから必要不可欠なツールへと進化しました。
Evernote のホーム画面は、小説の様々な要素を俯瞰できる場所です。リサーチ資料、物語のプロット、キャラクター設定、個々の章など関連するすべてのノートを一か所で確認できます。そこから簡単にノート名や日付をクリックして、前日の作業を再開できます。また毎日実行すべきタスクやスケジュールも確認できるので、執筆のための時間をしっかり取ることができます。
忘れる前にアイデアをメモする
良いアイデアや場面転換が思い浮かんだけれど、今書いている物語にすぐに組み込めない場合もあるでしょう。そのような時、手元にある紙に走り書きしたのでは、どこにいったか分からなくなる恐れがあります。素晴らしいアイデアを無駄にしないよう、ホーム画面の「スクラッチパッド」ウィジェットにメモしましょう。
スクラッチパッドは、進行中の作業に関する重要な情報をメモするのにも使えます。たとえば、主人公は右利きか左利きか。殺人事件が発生した夜は明るい月夜だったのか、夜空は雲に覆われていたのか。物語に矛盾が生まれないように、こうした重要なディテールをいつでも見られるスクラッチパッドにメモしておけば安心です。
使いこなしのヒント: Evernote Professional と Evernote Teams のお客様は、複数の「スクラッチパッド」ウィジェットをホーム画面に設定できます。さらに、スクラッチパッドの名前と色を変更できるので、異なるキャラクターについてメモしておくのにも便利です。
ToDo を管理する
作家が創作する姿というと、私たちの多くは背中を丸めてキーボードに向かい一心不乱にタイプする光景を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれも欠かせないプロセスですが(NaNoWriMo のように短期間で書く場合は特に)、実際には執筆作業に入る前に多くの下準備が必要になります。また執筆に入ってからも、調査や取材は続きます。書き始めることで新たに生まれる疑問もあり、そのためには継続的な情報収集が欠かせないのです。
Evernote のタスク機能を使えば、時代や文化の考証から科学的な理論や手法のリサーチまで、細々とした ToDo をもれなく簡単に管理することできます。計画的に事実確認を行なっておけば、情報不足で行き詰まることもありません。
使いこなしのヒント: 幸運にもリサーチを手伝ってくれる人がいる方は、Evernote でタスクをその人に割り当てましょう。相手はタスクを確認して、完了したらチェックマークをつけることができます。
時間を有効に使う
30 日間で 50,000 ワードを書くのは大変なことのように思えます。実際、大変です。大部分の NaNoWriMo 参加者は、仕事や家庭などの生活をこなしながら執筆しています。集中して書き進め、毎日のワード数(文字数)ノルマを達成するためには、執筆のためだけに使える時間を確保する必要があります。そのためにはスケジュール管理が不可欠です。
Google カレンダーを利用されている方は、Evernote と接続して、ホーム画面にカレンダーウィジェットを追加しましょう。そしてカレンダーに(参加者は自分だけにして)予定を作成します。こうすることで執筆のための時間を忘れずに確保できますし、他の人もその時間はあなたが忙しいことがわかります。さらに、今取り組んでいる章のノートまたは目次ノートを予定にリンクしておけば、予定からワンクリックでそのノート開くことができ、時間を無駄にせずすぐに作業に取り掛かれます。
表示内容をフィルタする
どのような物語を書いているにしても、1 か月の間に、大量の資料やプロットノート、キャラクター設定ノートなどが蓄積されていくはずです。それらの情報を整理して管理するのは骨が折れますし、大量の資料から必要なときに必要な情報を見つけるのも時間がかかります。
そこで、フィルタ済みのノートのウィジェットを使って、探す作業を効率化しましょう。このウィジェットでは、条件に合致するノートだけを表示することができます。たとえば、各ノートに場所やキャラクター名、物語の仕掛けなどのタグをつけておき、そのタグを条件にしてフィルタすれば関連するノートだけが表示されます。こうしておけば、キャラクターの詳細や、世界観の要素、ストーリーの時系列など、必要な情報だけをさっと表示して参照できます。
使いこなしのヒント: Evernote Professional と Evernote Teams のお客様は、「フィルタ済みのノート」ウィジェットをホーム画面に複数設定できます。メインキャラクターごとや場所ごとなど様々な使い方が可能です。
すべてを一か所に集約
過去にNaNoWriMo を完遂した勝者が述べているように、「どの書き手にもそれぞれ独自の整理・管理方法があります」。しかし、成功する書き手に共通しているのは、自己管理、決意、そしてしっかりとした計画です。あなたも Evernote を味方にして整理と管理を効率化し、ずっと書きたいと思っていた小説を書いてみませんか。