働き方が多様化する現代。特に最近では、新しい生活様式の広がりにより「在宅でのリモートワーク(テレワーク)」をされている方も多いと思います。
しかし、夜中や週末までつい仕事をしてしまったり、思ったほど家事や育児との両立がうまく行かなかったりしてストレスを感じることはないでしょうか。
2020 年 5 月に厚生労働省がリモートワークについてまとめた資料によれば、リモートワーク経験者の半数近くが、仕事とプライベートとの区別に課題を感じています。
近年では、家庭においてパートナーとの役割分担を柔軟に調整したり、複数の会社で仕事をかけ持ちする「複業」に取り組んだりする機会も増えています。単に「仕事かプライベートか」というだけではなく、私たちの「日々の生活のなかでやるべきタスク」の境目が溶け合うシーンが増えているとも言えるかも知れません。
そこで今回は、仕事とプライベートの境目があいまいになりがちな在宅でのリモートワークにおいて、上手にストレスをコントロールし「やらなければならないタスク」に取り組むための 3 つのヒントをご紹介します。
新たにやってくるタスクをコントロールする
「リモートワークでせっかく通勤や会議の時間が減ったのに、思ったほど、やるべきことができていない気がする」と、ストレスを感じることはありませんか。
リモートワークでのやり取りはメールやチャットによる「テキスト・コミュニケーション」が主となりますが、連絡が来たものに手当たり次第に手を付けていると、目の間に積まれる細かなタスクに忙殺され「時間があるはずなのに、本来やるべきことに取り組めていない」というストレスが溜まってしまいます。
米国のノーザンイリノイ大学とインディアナ大学との共同研究によれば、自分でコントロールできない仕事に就いている人は、そうではない人よりも強いストレスを感じると報告されています。テキスト・コミュニケーションでは「発信する側」は相手の状況に関係なく一方的に送りつけることができるため、「受けとる側」でうまくコントロールすることが大切です。
すべてのタスクが「その場ですぐに取り組まねばならない」というわけではありません。新しいタスクがやって来たら、緊急のもの以外はその場では着手せず、いったんメモだけして「保留」にしておきましょう。
Evernote で「タスクのパーキングエリア」(一時的な保留の場所の意)という名前のノートを作ります。タスクの連絡が来たら、このノートにいったんメモだけ残しておき、その場では着手しないようにします。チャットの場合はメッセージへのリンクを取得できる機能があるものが多いので、一緒にハイパーリンクもメモしておくと、後で見直しやすくなります。

ホーム画面の「固定表示されたノート」に登録しておけば、メモが必要なときに簡単にアクセスすることができます。

また、ノートにリマインダーを設定しておき、保留したタスクを後で忘れずに確認できるよう、通知を送ることもできます。

境目があいまいだからこそ、スケジュールを立てる
通勤の必要があれば、特に意識せずとも「平日昼間は仕事、夜と週末はプライベート」というように区別が付けられます。しかし、在宅リモートワークでは両者の境目は曖昧になりがちです。
仕事のちょっとした合間にプライベートのタスク(家事や育児など)を処理できるのは柔軟性があってすばらしいことですが、線引きがあまりに曖昧すぎるとどちらも思うように進まず、ストレスが溜まってしまいます。
仕事もプライベートも含めて 1 日の「タスクを実行する時間」のスケジュールを立てることで、今やるべきことに集中しやすくなります。
例えば、洗濯ものは「乾いたら取り込む」のではなく、「午後 3 時〜3 時半で、取り込む・たたむ・しまうタスクを行う」というように時間帯を決めます。そうすれば、お昼を食べた後の午後 1 時〜3 時の間は洗濯ものを気にせず、仕事に集中できるようになります。(もちろん、突然の雨が降ってきた場合には、予定を待たずにすぐ取り込むべきでしょう。)
子育て中で、パートナーが不在の時間がある場合、集中が必要なタスクに取り組むことは難しいかも知れません。ワンオペレーションの時間帯は細切れになっても良い「単純作業のタスク」を処理する時間に充てておき、集中して取り組む必要のあるタスクはパートナーが帰宅した後に処理する、といったスケジューリングも考えられます。(育児のタスクは突発的にいろいろなことが起こりがちなので、予定どおりに進まないリスクも考慮しなければなりません。)
Evernote では表の機能を使ってスケジュール表を簡単に作成することができます。

また、Excel や スプレッドシートで作っておいた表をコピー&ペーストして表を作ることも可能です。

表の編集方法については、下記のヘルプ記事もご参照ください。
表を編集する – Evernote ヘルプ&参考情報
振り返る
可能であれば、1 日の終わりに今日予定していたことと実際にできたことを振り返り、そのうえで明日の予定を立てておくと、翌日がスムーズに進みます。
企業では、業績の「予実管理」というものがあります。経営目標の達成のために必要な「予算」を立て、それに対してどれだけの「実績」を上げられたのかを分析し、経営活動のカイゼンにつなげる、というものです。
予実管理には、課題が「見える化」できるようになり、対策が立てやすくなるというメリットがあります。
個人でも 1 日の活動の予定と実績を突き合わせることにより、その日にできたこと/できなかったことを見える化することができます。それを元に、次の日はどのように活動すれば良いのか計画を立てることで、より良い一日を過ごすためのカイゼンのサイクルを回すことができます。
実際に予定と実績を比べてみると、例えば「家族が帰宅して慌ただしい夕方の時間に、集中力が必要なタスクを処理しようとした」というように、意外と「できそうにない時間帯で無理矢理タスクを処理しようとしている」ことがあります。
状況が整っていない時間帯にタスクを処理しようとしても、うまくいかないことが多く、それによって自己肯定感も下がってしまいます。予定と実績が食い違っている場合は「頑張りが足りない」というような表面的な理由で片付けず、なぜ予定どおりにできなかったのか根本的な原因を考えて、次の対策を立てておくことが重要です。
先ほど、Evernote で作成した予定表をもとに「日記」のノートを作り、その日の予定と実績や、気が付いたことをメモしておきましょう。


日ごとの振り返りを Evernote に溜めていき、1 週間ごとや 1 ヵ月ごとといったある程度のまとまりで見直しするのもオススメです。
一定期間のまとまりで振り返ることで「週初めは比較的タスクを処理できているが、週末は疲れて能率が落ちやすい」「午後は曜日によって家族の帰宅時間がまちまちなので、午前中の方が集中してタスクに取り組みやすい」といったように傾向が見えてくるので、対策を立てやすくなります。
筑波大学の准教授であり、「メディアアーティスト」として多方面で活動している落合陽一氏は、著書・超AI時代の生存戦略のなかで「ワーク・アズ・ライフ」という概念を提唱しました。仕事と日常生活とが限りなく融合するこの概念のもとでは、タイムマネジメントよりもストレスマネジメントが重要であると、同書のなかでは語られています。
これまで私たちは、仕事とプライベートとを「オンとオフ」という考え方で切り分けてきました。しかし、ライフスタイルの多様化やテクノロジーの発展により、その境目はこれからさらに曖昧になっていくことでしょう。曖昧になるからこそ、ストレスを上手くコントロールするためには「本当に自分がやりたいこと・やるべきこと」に取り組めるように、仕事や日常生活を整えていくことが重要です。
皆さまが「本当にやるべきこと」に取り組むために、Evernote がお役に立てましたら幸いです。