デジタルデータを数百年後にまでどう伝えるのか – 元エンジニアの僧侶に聞く活用法

IT 化が進むにつれて、寺院のあり方にも変化が訪れています。伝統的な方法を大切にしながらも、デジタルや IT を取り入れた新しい波が起きているのです。そうした潮流を先導する僧侶の一人、小路 竜嗣さん。長野県に位置する浄土宗善立寺の副住職でありながら、元機械系のエンジニアというユニークな経歴を持っています。 なぜ寺院の IT 化を進めるのか。テクノロジーは寺院にどのような変革を促すのか。小路さんにお話を伺いました。 氏名:小路 竜嗣(こうじりゅうじ) Facebook アカウント / Twitter アカウント エンジニアから僧侶の道へ ――さっそくですが、小路さんの経歴について教えていただけますか。元機械系のエンジニアということですが、かなり珍しいですよね。 小路:珍しいと思います。もちろん、他の職業から僧侶の道へ入られる方もおられるのですが、私の場合は実家が寺だったというわけでもありませんから。 ――どうして僧侶の道を選ばれたのですか? 小路:実は現在、副住職をしている善立寺は妻の実家なんですよ。妻は一人娘だったので、私が婿入りして寺を継ぐことにしました。妻と知り合ったのは学生時代で、そのときは僧侶になるとは全く思っていませんでした。 ――なるほど。一度はエンジニアとして就職されたわけですよね。 小路:はい。株式会社リコーのエンジニアとしてしばらく勤務していました。 ――就職もして順調だった人生から方向転換した理由は何だったのでしょう。 小路:妻や周囲からもゆくゆくは僧侶に……と言われていたこともありました。実際、もっと年をとってから修行して僧侶になる人もいます。ただ、私の場合は年をとってからだと体力的に心配だったのと、もっとも大きな理由は……惚れた弱み、でしょうか(笑)。 ――いい話ですね!(笑) 僧侶になるにはどのような修行をされるのですか? 小路:宗が定める四年制大学で勉強する人が大半です。しかし、私の場合は大学生という歳でもなかったため、二年課程の養成道場に入って修行をしました。この養成道場では、京都や鎌倉の大本山などで僧侶としての必要な素養を徹底的に学びます。たとえば、インド仏教史から宗教法人法に至るまで、仏教にまつわる様々な知識を学びます。また、お経を読んだり木魚や鉦を打ったりといった法要に関する実技も。ちゃんと試験があって、合格しないと次のステップに進めないんですよ。それらを終えた後、2013 年に東京・芝の大本山増上寺にて最後の修行を修めました。 ――ちゃんとしたカリキュラムがあるのですね。どんな方が学ばれているのですか? 小路:18 歳から 70 歳を超えた方まで、年齢も経歴も本当に様々です。定年を迎え、次の人生として僧侶になろうという方や、一般の大学に通いながら修行される方もいますね。 僧侶の仕事はアナログとデジタルが共存する ――小路さんもそうやって二年間修行されてから、2014 年 1 月より奥様のご実家である善立寺に副住職として入られたわけですね。寺院の仕事というと、あまりデジタルとは相性がよくないイメージがありますが……。 小路:それが、そうでもないんですよ。私は出家すると同時に Evernote を使い始めたのですが、今では絶対に欠かせないソフトになっています。 ――ちなみに使い始めたきっかけは? 小路:docomo のキャンペーンですね。もともと興味はありましたが、一年間無料でプレミアム機能が使えることに惹かれました。 ――最初はどのような使い方を? 小路:最初は日常生活の買い物リストのメモなど何気ない使い方をしていたのですが、副住職になってから Evernote を活用する場面が多くなりました。その理由はいくつかあります。まず僧侶って所属する団体が意外と多いのですよ。 ――団体といいますと? 小路:たとえば浄土宗の中にも多くの関連団体があります。また、松本地域の寺院関係者が所属する団体、さらに長野県の寺院関係者が所属する団体、若手の僧侶で構成されている青年会もあります。複数の団体に所属していると、お知らせの書類だけでもかなりの量が届きます。こうした紙類はたまってしまう一方ですし、後から必要な情報を探し出そうとするだけで一苦労です。そこで私は ScanSnap iX500 スキャナを導入しました。iX500 を使って、届いた紙類をすべて PDF 化して Evernote に保存しています。Evernote の強力な OCR 機能のおかげで検索性も上がり、ほしい情報がすぐ見つかるようになりました。 ――お知らせはメールではなく、書類で届くのですね。 小路:はい。僧侶は 20 代から 80 代まで幅広い世代が活動していますので、全員が確実に使えるやり方となると、手紙かはがき、せいぜい FAX になってしまします。その一方で若手の僧侶はメールで PDF をやりとりしたり

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