人類の長い歴史において、傑出した人物の多くがチームワークの美点について雄弁に語ってきました。独立独歩で有名なスティーブ・ジョブズですら、「偉大な事業は決して一人では成し得ない。チームによって成し遂げられるのだ」と言っています。
しかし、このような素晴らしい格言の数々にも関わらず、多くのチームは、メンバーの主体的な関与、コミュニケーション、目的意識の欠如に悩んでいます。
チームワークがそれほど素晴らしいものであるのなら、なぜチームで働くことがこれほど難しいのでしょうか?
現代のチームの弱点
ブルックスの法則: 遅れているソフトウェアプロジェクトへの人員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけである
ソフトウェアプロジェクト管理の古典と言われている The Mythical Man-Month: Essays on Software Engineering(邦題『人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない』)の著者フレデリック・ブルックスは、チームに人員を追加すると、人員と責務をつなぐ線が増えるためにコミュニケーションと調整のコストが増すことを指摘しました。この指摘は明らかな事実であったため「ブルックスの法則: 遅れているソフトウェアプロジェクトへの人員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけである」として有名になりました。
ブルックスが述べたのはソフトウェア開発についてでしたが、この法則は共通の目標を掲げるあらゆるチームに当てはまると言えます。チームの規模が大きくなれば、メンバー全員の足並みを揃えるのは難しくなります。メンバーがメールに気づかなかったり、通知を見逃してしまったりすることもあれば、全員が顔をあわせるミーティングを設定するのが物理的に不可能なこともあります。そのようにしてメンバー間で情報に偏りがでれば、真の意味でのイノベーションや協力の機会は失われてしまいます。
チームとして最大限に効率的な共同作業を行うことができなければ、生産性は落ち、収益機会を逃し、顧客満足度は下がってしまうでしょう。結果として会社全体が苦しむことになります。
しかし、チームとしてより効率的に知識や情報を共有し、共同作業を行う方法があるとしたらどうでしょう?
Evernote Business の「スペース」へようこそ
チームメンバー全員が仕事の全体像を把握し、さらに同じ情報を共有できるよう、Evernote Business では「スペース」という新機能を導入しました。スペースを使えば、ノートやノートブックの活用方法がこれまでよりさらに広がり、チームとして効率的に情報を共有、検索、活用できるので、全体としての生産性が高まります。
スペースでは、アイデアを具体的な作業に落とし込み、仕事を進めるために必要となる情報を、チーム全体で一元共有することができます。プロジェクト、チーム、あるいはトピック別にスペースを作成し、そこに関連するノート、ノートブック、PDF、画像、音声ファイルなどを保存しましょう。各スペースには同じ Evernote Business アカウントに属するユーザを招待することができ、招待されたユーザはスペース内のすべてのコンテンツを閲覧できます。つまり、スペースはチームのホームグラウンドとして機能し、すべての情報や作業進捗がここに集約されるので、メンバーは必要な情報をすぐに見つけたり、簡単に共同作業を行ったりできるのです。さらにモバイルデバイスからもアクセス可能です。
Evernote ではスペースの開発にあたり、多くのチームで悩みの種となっている以下の 5 つの課題を洗い出しました。スペースを活用することで、これら一つ一つを解消し、チーム全体の作業効率を高めて最大限の力が発揮できるはずです。
1. 情報の洪水に対処する
米国の発明家バックミンスター・フラーによれば、20 世紀に入るまでは人類の知識はおよそ 100 年ごとに 2 倍になるペースで増えてきたそうです。しかし 20 世紀に入ると情報の増加は急激に加速し、2025 年までには毎日 2 倍の量に増えていくと見込まれています。
フラーはこれを「知識倍加カーブ」と名付けました。
机上の理論としてではなく、現実に及ぼす影響を想像してみてください。IDC によれば、現代における平均的なナレッジワーカー(知識労働者)は 1 日あたり 2.5 時間もの時間を必要な情報を探すことに費やしているそうです。つまりこの時間は実際の仕事をしていない時間ということになります。
スペースでは、チームが仕事をするのに必要な情報を一ヶ所で一元管理できるので、情報の洪水による問題が軽減されます。リンク、文書、画像、PDF などすべてをスペースに保存しておけば、情報の保管場所がわからなくなることはありません。チームメンバー全員のパソコンや社内サーバ、クラウドなどをいちいちすべて検索する必要もなくなります。また Evernote の強力な検索機能を活用すれば、保存した情報の中から必要な情報をすぐに見つけ出すことができます。
2. 組織の知識を保持する
組織において、従業員は入れ替わっていくものです。特に転職が珍しくなくなった現代ではなおさらです。
従業員が組織を去る時、普通はその人の持つ知識も組織を去ります。欠員は新しい従業員が埋めるにしても、そうして人が入れ替わっていくうちに、数年前の仕事について覚えているメンバーが誰もいない、というときがやってきます。
しかし、以前の従業員の知識がスペースに保存されていれば心配することはありません。必要な情報は常に関係者全員に共有されており、過去の情報の損失も起こりません。
プロジェクトを完了したら、チームの気づきや反省点をまとめておきましょう。それをスペースに保存しておけば、後日同じミスが起きるのを防いだり、うまくいった方法を流用したりできます。また新しいメンバーが加わったときにも、スペースに招待するだけで過去の情報をすべて共有できます。
組織として従業員の入れ替わりは避けられません。しかし、個人が有している情報や暗黙知を Evernote Business で「見える化」して保存しておけば、組織として知識を保持していくことが可能です。
3. 重複作業を回避する
「早起きは三文の徳」と言いますが、仕事でも迅速なイノベーションを行い、他社に先んじて新製品を市場に投入することには大きな利益があります。しかし、チームが迅速に目標を達成しようとすれば、組織の形式や手順が追いついていかず、情報の透明性に問題がでてくることが多々あります。
「スピード重視」のデメリットとして、各チームがばらばらに行動することで同じ作業を重複して行ってしまう危険性があげられます。同じチーム内ですら、他のメンバーが取り組んでいることに気づかずに、同じプロジェクトに取り組んでしまう場合もあります。
いうまでもなく、こうした重複作業は時間の無駄です。新しいアイデアや知識を生み出すのに使えたかもしれない時間を、重複作業に費やしてしまったのですから。結果的に生産性は下がり、組織にかかるコストも増大します。IDC によれば「1,000 人のナレッジワーカーを雇っている企業は、従業員がすでに社内に存在する情報の重複に時間を費やすことで、年間 500 万ドル(約 5 億 2,900 万円)を無駄にしている」そうです。
Evernote Business のスペースなら、「新着情報」と「固定表示されたノート」のウィジェットにより、メンバー全員が最新の進捗と重要な情報を漏らさず把握することができます。またスペースディレクトリに掲載したスペースは、社内の従業員全員に表示されるので、現在社内でどのようなプロジェクトが進行しているかを誰もが把握することができます。こうした情報の可視化により、重複する作業を回避して生産性を向上できるだけでなく、全社的な足並みも揃います。
4. どこからでも情報にアクセスする
現代の働き方において最も大きな変化の一つが遠隔勤務の増加でしょう。インターネットの高速化やワークライフバランスを求める人の増加により、従来のオフィス以外の場所で働く人が増えてきました。事実、GitLab、Buffer、Zapier などは従業員全員が遠隔勤務です。
Evernote Business のスペースを使えば、全員がオフィスで顔を合わせなくても簡単に情報共有できます。保存された情報は、利用しているすべての端末で自動的に同期されるので、いつでもどこにいてもアクセスでき、最新の情報を見逃すこともありません。
たとえば、外回りをしている営業担当者が新しい顧客をスペースに追加したとします。すると、オフィスにいる請求部門も、隣の県にある倉庫管理部門も、在宅勤務している財務分析担当も全員が「新着情報」でそのことを把握できます。
チームに関連するあらゆる情報を Evernote Business のスペースに保存しておけば、対応の抜けや漏れもなくなります。
5. ワークフローを強化する
英語には「BYOB(Bring Your Own Bottle/Beer = 飲み物各自持参)」という表現がありますが、最近のビジネストレンドは、これをもじって「BYOD(Bring Your Own Device = 私有端末の業務使用)」と言われていました。そしてさらに「BYOA(Bring Your Own App = 私有アプリやサービスの業務使用)」の傾向も高まっています。
チームメンバーにはそれぞれ自分の仕事のやり方があり、使いやすいと思うツールも異なります。そこで、社内で一律のアプリを強いるよりも、従業員に好きなアプリを使ってもらうほうが効果的だと考える企業が増えてきたのです。しかし多数のアプリや製品、文書を行ったり来たりしていると、情報の損失が起こりかねません。つまり、BYOA のような働き方には、どんなチームにも合う柔軟性の高いツールが必要となるのです。
Evernote Business は、Salesforce、Slack、G Suiteなど、多くのユーザが好んで使用しているツールとの連携が可能なだけでなく、Apple Watch、Siri、Amazon Echoなどのデバイスとも連携できます。これらのツールから直接 Evernote Business に情報を保存し、その後チームに共有したいものをスペースに移動しましょう。
Evernote では今後も、上記の課題についてのヒントや事例を紹介していきます。また Evernote Business の無料トライアルにお申し込みいただけば、チームの力を最大化するスペースのメリットを実際にお試しいただけます。