働き方改革がトレンドになって久しい昨今ですが、まだまだ社会全体が変わったとはいえない状況です。そんな中、ニューヨークに 1 ヶ月間滞在し、リモートワークを実践されたのが株式会社 DATA KIT の青木孝嗣さん。
その際に欠かせない存在だったという Evernote Business の活用法と、リモートワークを成功させるためのポイントについて伺いました。
ニューヨークはノマドワークに最適な街
――青木さんの現在のお仕事について教えてください。
青木:神戸に本社のある株式会社 DATA KIT でマーケティング企画部に所属しています。
――1 ヶ月間、ニューヨークに滞在してリモートワークをされていたそうですね。どうしてニューヨークに?
青木:普段の仕事が PC 一つでできることが多く、新しい働き方に挑戦したいと思っていたこともあり会社に提案しました。ニューヨークを選んだのは従兄弟が住んでいるので、滞在費の面でメリットが大きかったからです。
――なるほど。それにしてもすごい行動力ですね。
青木:もともと前職でもフルフレックスで働いていましたし、新しい働き方に対してハードルはそれほど高くなかったです。
――日本で働くのと比べて何か違いはありましたか。
青木:ニューヨークはノマドで仕事をするのにとても便利な街だと感じました。ホテルのロビーや図書館などの公共施設、カフェ、屋外の公園にまで高速なフリー Wi-Fi が整備されており、一部ホテルのロビーもワーカー向けに開放されていて、コーヒーひとつ頼むことなく一日中そこで仕事をすることができるのです。なお、フリー Wi-Fi を利用する際は、通信の安全性を高めるために VPN 接続を利用していました。
――それはすごい!日本はまだそこまでは環境が整備されていませんね。
青木:その背景にはニューヨークという街の多様性があるのだと思います。ニューヨークの人々はいい意味で適当で、地下鉄はボロボロだったりエアコンが効いていなかったりします。そうかと思うと地下鉄で突然ストリートパフォーマンスが始まったり、赤ちゃんが泣いても優しく話しかけたりして心に余裕がある。それはきっと、いろいろな人種の人がいて考え方も違う街だからこそでしょう。「こうあるべき」という思いが強すぎると生きていけない街なんだと思います。
――そうした背景が働き方にも反映されていると。
青木:そうですね。皆が自分のやり方で自由に働いています。Wi-Fi が完備されていることも、そうした多様性がバックボーンにあるからだと思います。
リモートワークに欠かせなかった Evernote Business
――自由な働き方を実現するためには、クラウドツールは欠かせないのでは?
青木:はい。日本でも利用者の多い Evernote や Dropbox などを使っている人もよく見かけましたね。
――青木さんにとって欠かせないツールはなんだったのでしょう。
青木:やはり Evernote Business です。日本とニューヨークという物理的に離れた場所でリモートワークをするのに不可欠なツールです。
――ぜひリモートワークにおける活用法を教えていただけますか。
青木:事業部内で共有する多くの情報や、個人的に保存しておきたいデータなどをすべて Evernote Business に保存しています。これまでは構造化したフォルダに整理して保存していたのですが、ニューヨークに行くにあたり、時間や場所にとらわれず、「検索して目的のものを見つけ出す」方法に切り替えることにしたのです。Evernote の検索機能は強力なので、単語を入力すればすぐに目的のファイルを見つけ出せます。
ちなみにファイルを入れる際は、インポートフォルダ (*) のショートカットをデスクトップに作っておき、新規ファイル作成時にインポートフォルダに入れることでシームレスにすべてのファイルが Evernote に保存されることも便利な点ですね。
* Evernote for Windows の機能
それから、Word や Excel も Evernote に貼り付けておくと便利なんですよ。
――それはなぜですか?
青木:ファイルを貼り付けたすぐ下に補足事項を記載しておけるからです。「この Excel は XX 日前に更新したからチェックしておいて」みたいに。これは、様々な形式の情報を一つのノート内にまとめておける Evernote ならではの利便性だと思います。
――なるほど。いちいち更新のたびにメールにその旨を書いて共有するのは大変ですしね。
青木:あと、会議ではホワイトボードをよく使うので、それを写真に撮り、議事録に貼り付けます。議事録は会議中にリアルタイムで更新するのですが、写真とテキストを一つのノートに貼り付けていけるのでその場で議事録が完成していくというわけです。
――時間を削減して効率化につながりそうですね。
青木:共有という点では社外とのやりとりにも便利です。たとえば議事録やイベント企画書などは何度も更新を重ねていくものですが、Evernote なら一つの URL で共有することができるので、メールにファイルを添付して行ったり来たりする必要がなくなりました。
――人によって最新のファイルが違う……というミスも避けられますね。
青木:それから「スペース」機能はすばらしいですね!私はプロジェクトごとにスペースを作成しているのですが、あるプロジェクトで必要なノートブック、ノートをメンバーと一括共有できるのがすごく便利だと思います。そのおかげで、必要な情報だけをすばやく見つけ出すことができて助かっています。スペースは、チームで働くときにとても役立つ機能だと感じています。
――タグなどは使われますか?
青木:誰かに確認を依頼したり、読んでおいてほしいノートなどには人の名前をタグにしてつけています。タグをつけられた人はノートを確認し、タグを外します。これで「読んだ」という報告になるわけです。
徹底して効率化したからこそ、対面でのコミュニケーションの重要性にも気づけた
――お聞きしていると、ニューヨークと日本で離れていても、本当に Evernote Business で仕事のほとんどが完結できているのですね。
青木:はい。ただし、それでも必要に応じて Zoom というソフトをつないでビデオ会議を行っていました。というのも、一緒に仕事をしていく上で一定の、対面でのコミュニケーションは必要であり、それらすべてをテキストに置き換えることは不可能だということに気づいたからです。
――といいますと。
青木:ニューヨークに来る前は、テキストだけのやり取りで大丈夫だと思っていた部分がありました。たとえば、日本にいる同僚が私に依頼したいことなどがあれば、それをチャットなどで送っておいてもらって、こちらが起きたらそれを確認して返信する。そして、日本での仕事が始まったら、それを確認してもらってまた返信して……という流れで考えていたんです。
しかし、実際にやってみると、複数回のやり取りが発生する場面などでは、時差を乗り越えてでもビデオ会議で顔を合わせ、メンバーと直接話すことが効率の良い方法だと感じたのです。
最初は時差もあるし、それは非効率だと思っていましたが、対面の方が意思決定が速いこともあるのです。逆に Evernote であらゆる作業が効率化したことで、対面でなければいけない仕事とそうでない仕事を切り分けることができました。
――最後にこれからリモートワークや働き方改革に取り組まれる方へアドバイスをお願いいたします。
青木:第一に、「既存のルールや方法がベストではない」ことを全員が理解し、自分たちは変わっていけると信じることです。誰もが自分にとって最良の環境を求めすぎるとチームが瓦解します。しかし、皆に合わせて自分の効率を落とすことも本末転倒です。「皆にとって最良の環境」において、「自分はどうありたいか」を明確にしていくことが組織のためになると思います。
オフィスで働きたい。一人で働きたい。カフェで働きたい。みんなで働きたい。求める環境は人それぞれなので、会社はそれぞれの働き方を肯定できるよう、あらゆるツールやルールの整備に惜しまぬ努力をすることが必要だと思います。
DATA KIT も新しい働き方に向けていろいろな制度を整備し始めたばかり。私もたった 1 ヶ月弱の海外経験ではありましたが、その経験をもとに様々な背景を持つ人々がともにストレスなく働ける環境を作れるよう後押ししたいと思います。
――ありがとうございました!
※「働き方」に関するヒントが見つかる DATA KIT のウェブサイト「わたしらしい働き方へ 神戸ワークスタイルリフォーム」もぜひご覧ください。