私たちは、膨大な情報が行き交う情報社会に暮らしています。その中で生産性を高めるには、効率的な情報整理が不可欠。日々さまざまな経路から入ってくる多岐にわたる情報とこれまで知識として蓄積してきた情報。点と点として存在するこれらを線でつなぎ、意味を見出すことで、情報は初めて価値を持ちます。普段から、情報をわかりやすく整理して、いつでも使えるようにしておくことは、時間の節約になるだけでなく、本当に大切なことに集中するのに役立ちます。
どれだけ真面目に仕事をしていても、どれだけ人に慕われていても、情報整理ができなければ、仕事もプライベートもバタバタしてしまうもの。生産性を高め、健全なワークライフバランスを保つには、物理的なスペースだけでなく、ワークフローやデジタルライフもすっきり整理することが必要です。
では、何から始めれば良いのでしょうか。まずはすでに確立されている生産性メソッドを使ってみましょう。簡単なもの(カエルを食べてしまえやサインフェルド・カレンダー)から複雑なもの(GTD、ZTD、そして PARA)まで、情報整理の達人たちは皆、こうしたメソッドの重要性をよく理解しています。
あなたに合っているのはどのメソッドでしょう? 今日は主要なメソッドをひとつずつ見ていきますので、ご自分にぴったりものを選んでください。
生産性メソッド #1: カエルを食べてしまえ
「カエルを食べるのがあなたの仕事なら、朝一番にそれを済ませてしまうこと。2 匹食べなければならないのなら、大きい方から食べること」
—マーク・トウェイン
せわしない現代は、毎日やるべきタスクで溢れています。そこで取り入れたいのが「カエルを食べる」アプローチ。ここで言う「カエル」とは「最も重要なタスク(MIT)」のこと。マーク・トウェインの言葉からこのメソッドを考案したのは、モチベーショナルスピーカーで自己啓発書の著者でもあるブライアン・トレーシー氏。シンプルに思えますが、生産性のた達人たちの多くが利用しているメソッドです。
ここで大切になるのは、消化不良を起こさずに「カエルを食べる」こと。まずはタスクを特定し、それが 4 時間以内に完了できるものかどうかを確認しましょう。もし、半日以上かかりそうな場合は、分割して 2 匹のカエルにします。
毎日、朝一番の活力に満ちた状態で、カエルを食べるようにします。カエルは前日のうちに準備しておくと尚良しです。たとえば文書を編集することがカエルだとしたら、前日のうちにその文書にアクセスできるようにしておきます。スクリーン上に開いておくのも良いでしょう。朝になったら、メールを確認したり会議をスケジュールしたりする前に、集中して全力でそのカエルに取り組みます。
カエルのつけ合わせは Evernote で
使いこなしのヒント: 別々のノートブックに保存されているノートもキーワード決めてタグ付けすればカテゴリ別に分類できます。ノートは、題名、日付、コンテンツの種類、任意の語句で検索可能で、画像内の文字や手書きの文字まで検索できます。さらに検索語句を入力中からリアルタイムで候補が表示されます。
使いこなしのヒント: Evernote のタスク機能は、毎日のカエルを特定し優先順位付けするのに便利。さらに、Google カレンダーと接続できるカレンダー機能と合わせて使えば、ノート、スケジュール、ToDo を同じ場所で管理できます。各タスクは関連ノート内に作成可能。優先度を表すフラグや期限、リマインダーを設定すれば、今やるべきことを簡単に可視化できます。
この方法は最も重要なカエルに集中するのに最適。さらに、タスクビューを使えば、一歩引いてすべてのタスクの全体像を見ることも可能です。Evernote では、タスク自体とタスクの遂行に必要な情報を同じ場所で管理できるので、明日の朝食べるカエルの優先順位付けもしやすくなります。
生産性メソッド #2: チェーンを断ち切るな(またの名をサインフェルド・カレンダー)
このメソッドは、コメディアンのジェリー・サインフェルド氏が成功の秘訣として「チェーンを断ち切るな」と言ったことから生まれたもの。これは、同じくコメディアンのブラッド・アイザック氏がサインフェルド氏に若いコメディアンたちへのアドバイスを求めたときに教わったことだそうです。
「ジェリーは、家の中の目に付く壁に大きな年間カレンダーを貼るように教えてくれました。次に、赤色のマーカーを用意すること。そして毎日、ネタを書いたらカレンダーに大きな赤いバツ印をつけること。僕はさっそくその日にネタを書いてバツ印を付けました。数日もするとバツ印がつながってチェーンになります。チェーンは毎日少しずつ伸びていき、数週間もすればかなり長いチェーンができあがります。すると、チェーンが伸ばすのが楽しくなるし、後はこのチェーンを断ち切らないようにすれば良いんです」
ジェリー・サインフェルド氏の素晴らしいところは、数々の受賞歴や栄誉だけでなく、その驚異的な生産性と永続的な一貫性にあります。その日に意欲が湧こうが湧かまいが、彼は粛々とタスクをこなし、チェーンを断ち切らないようにしました。このメソッドを活用することで、長期的な習慣が身につき、プライベートや仕事のあらゆる面で生産性を向上できます。大切なのは、やる気があるかないかではなく、毎日一貫して行うことなのです。
モチベーション維持は Evernote で
使いこなしのヒント: 長年の習慣を変えるのはなかなか難しいもの。目標を見失わないようにするには、自分の進捗を把握することが不可欠です。そのために、Evernote の習慣トラッカーテンプレートを使いましょう。進捗を記録することで、古い習慣から抜け出し、新しい習慣を作りやすくなります。
使いこなしのヒント: Evernote には、デイリープランナー、週間プランナー、月間カレンダー、年間カレンダーのテンプレートも用意されています。これらをノートに保存して、行うべきタスクに期限やリマインダーを設定しましょう。タスクに完了マークを付けるときの達成感でモチベーションも持続しますし、自分の成長も確認できます。「チェーンも断ち切らず」にすむはずです。Evernote で完了したタスクはタスクリストの一番下に移動するか、完全に非表示にすることができます。
生産性メソッド #3: Get Things Done(GTD)と Zen to Done(ZTD)
GTD: Get Things Done(仕事を成し遂げる技術)
デビット・アレン氏 (英語サイト) の有名な GTD メソッドの根幹にあるのは、すべての ToDo とプロジェクトを記録すること。そしてそれらを実行可能なタスクに落とし込み期限を設けることです。このメソッドは 5 つのステップで構成されます。
- 収集 — 頭の中にある「やらなければならないこと」や「気になっていること」を書き出します。Evernote のようなツールを使うと便利です。
- 処理 — 書き出した内容を、具体的で実行可能なタスクに分解します。
- 整理 — 分解したタスクを優先順位別やカテゴリ別に分類します。
- 見直し — 整理した内容を定期的に見直し、必要に応じて更新します。
- 実行 — リストアップしたタスクを順次片付けます。
GTD 生産性メソッドは、汎用性が高くさまざまなケースで利用できます。個人的なプロジェクトに使えるシンプルさがありつつ、大きなプロジェクトの管理にも十分に適用できます。
ZTD: Zen to Done(習慣を構築する技術)
GTD が難しそうだという方は、よりミニマリスティックな Zen to Done(ZTD) を試してみてはいかがでしょう。ZTD の生みの親、レオ・ババウタ氏は「ZTD で大切なのはシステムやツールではなく、習慣を構築し実行すること」だと述べています。さらに、ZTD ではタスクをシンプルにし、一度に一つずつ習慣を構築するようにとすすめています。
ZTD では、目標とタスクを必要なものだけに絞り込み、本当に大切なことだけに集中します。つまり、目標の達成に不可欠なプロジェクトだけを実行し、実行方法もシンプルにするということです。このメソッドはデイリー、週間、月間の単位で利用できます。ババウタ氏によると ZTD が目指すのは「やるべきことを減らせるだけ減らして、大切なことに集中し、高い質で実行すること」だと言います。
GTD と ZTD に Evernote を利用する
使いこなしのヒント: 「ノート」ウィジェットの頼れるいとこ的な存在である「フィルタ済みのノート」ウィジェット。このウィジェットを使えば、今必要なノートだけをホーム画面に表示できます。たとえば、音声ファイルが添付されているノート、特定のキーワードが入っているノートなど、条件を絞って表示できるのです。登録プランによっては複数のウィジェットを表示可能なので、条件ごとにウィジェットを配置するのもおすすめです。
プロジェクトやタスクをすべて一か所で管理できる Evernote のホーム画面は、GTD を管理するのに最適です。「フィルタ済みのノート」ウィジェットを活用してワークフローの全体像を把握しながら、すべてのステップを簡単に管理しましょう。
生産性メソッド #4: PARA
生産性のエキスパート、ティアゴ・フォルテ氏 (英語記事) によって開発されたこのメソッドは、生産性向上よりも情報整理に重きが置かれています。とはいえ、情報整理を生産性と切り離すことはできません。
PARA とは、仕事や私生活のありとあらゆる情報を分類する際に、最上位に来るカテゴリの頭文字を取ったもの。
- P: プロジェクト — 特定のゴールや締め切りがあるものを分類します。たとえば、「新しい従業員ハンドブックを作成する」など。
- A: エリア(範囲) — 特定の締め切りはなく、長期にわたってメンテナンスしていくものを分類します。たとえば、「人事」など。
- R: リソース — 継続的に関心のあるトピックとそれに関連するファイルを分類します。たとえば、有給休暇や福利厚生に関する社内規則の文書一式など。
- A: アーカイブ — 現在アクティブでないもの、タスクを遂行するために必要でないものを分類します。たとえば、完了したプロジェクト、更新が不要になったエリア、関心がなくなったリソースなど。
Evernote に PARA を構築する
高い柔軟性を誇る Evernote の活用法は無限大。PARA メソッドを使ったタスク管理や情報管理にもぴったりです。
プロジェクト: チームのプロジェクトを管理するなら、Evernote Teams を使いましょう。関連するすべてのアイデア、文書、議事録、スケジュール、ToDo リストを一か所に保存できます。保存した情報は、必要に応じてチームの誰もがアクセスでき、スペースやノートブックを使って自由に整理できます。情報が一か所に集約されているため、チームメンバーはオンサイトでもリモートでもスケジュールと目標成果物を確実に把握できます。
責任範囲: Evernote のタスク機能を使えば、タスクの責任範囲を設定するのも簡単です。ToDo(タスク)と関連情報(ノート)を同じ場所で管理できるので、タスク管理自体とタスクの遂行に必要な情報の間を行ったり来たりする必要がありません。
リソース: Evernote のWeb クリッパーを使えば、Web 上の情報をクリップするだけで収集できます。役に立つ記事やアイデアをすべて Evernote に保存しておけば、後から検索できるので探すのも簡単です。
アーカイブ: ここには、上記 3 つのカテゴリから、アクティブでなくなったものを保存しましょう。「アーカイブ」というタグを作って古くなったノートに付けるのも良いですし、X で始まる名前を付けたノートブックやスタックを作ってそこに入れるのも良いでしょう(X から始まる名前を付けると、そのノートブックやスタックは一番下に表示されるため)。不要になったけれども、念のために取っておきたいものを、ここに分類しておくと安心です。
すべてを記憶し、好きなことを実現しよう
2021 年のビジョンとして、Evernote CEO のイアン・スモールはこう述べました。「皆様が最小限の労力で情報をすっきり整理できること、職場で自信を持って生産性を発揮できること、個人的な情熱を追求できること、そして、毎日時間に追われずにやるべきことをできること。Evernote がその原動力になることが私たちのビジョンです」。
ホーム画面、カレンダー、タスク。それらをノートと組み合わせることで、さまざまな形での情報整理や生産性向上が可能になります。ホーム画面に今必要な情報だけを表示すれば、大量の情報に圧倒されることがなくなります。カレンダーとタスクと一緒に管理すれば、Evernote を開いた瞬間にその日にやるべきことがわかります。こうして、シンプルに整理することが、大幅な生産性を向上につながるのです。