新幹線などの鉄道車両に使われるアルミ部品を中心とした製品を手がける株式会社アコオ機工。昨年 10 月に Evernote Business を導入し、大幅な業務効率化を図ることに成功しています。製造業の現場で Evernote Business がどんな役割を果たしているのか、同社代表取締役の間鍋秀樹さんにお話を伺いました。
社内の情報共有を改善するために Evernote Business を導入
――本日はよろしくお願いいたします。まずは Evernote Business を導入された経緯について教えていただけますか。
間鍋:実は Evernote 自体は 2010 年ごろに一度使ってみようとしたことがありました。そのときはあまり馴染めずに使わなくなってしまったのですが、その後、兵庫県中小企業家同友会(以下、同友会)で Evernote のビジネス版の存在と便利さを知って、また使ってみようと思いました。
――すでに Evernote のことはご存知だったのですね。二度目はなぜ使おうと思われたのでしょうか。
間鍋:同友会で Evernote Business を見たときに、ノートの画像がサムネイルで時系列に並んでいるのを見て、便利そうだなと思ったのです。ちょうど社内の情報共有がなかなかうまくいかないという課題を抱えていたこともあり、導入を検討することにしました。
――具体的にどんなことがうまくいっていなかったのでしょうか。
間鍋:主にファイルの管理です。フォルダで管理するというやり方が染み付いていて、各自が自分の PC に保存している状態でした。これでは社員がやっていること、取り組んでいるプロジェクトの状況が私や他の社員から見えにくい。これを解消したかったのです。
情報に文脈を残せることが Evernote Business の他にはない魅力
――他のサービスは検討されましたか。
間鍋:他のクラウドストレージサービスとも比較しました。Evernote が優れているのは、更新されたノートが上に来ること。ノートブックは一つのストーリーを作ることができるのです。たとえば見積書ノートの後に商談記録ノートが来て、さらに再見積もりノートが続く……といった具合に情報に文脈を残せるので、時間軸の理解がしやすいのです。
――ビジネス版を選んだ理由は?
間鍋:会社で仕事として使う以上、権限処理をしっかりしたかったのと、ノートブックの共有をスムーズにしたかったからです。
――導入時、社員の皆さんの反応はいかがでしたか。
間鍋:やはり慣れない人も多いですよね。特にシニア層はそうです。ただ、1 年間使用して、管理者としては Evernote の世界観をつかんだという実感があります。社員自身にもメリットがあるツールなんだということをもっと実感させていきたいと思いますね。
紙とデジタル、双方の長所を生かして
――Evernote Business の使い方を具体的に教えてください。
間鍋:まず、社則や就業規則といった基本的な社内のルールは Evernote に入れています。それから研修や展示会のチラシ、納入予定表などもスキャンして電子化し、保存しています。
――ペーパーレスを目指しているのでしょうか。
間鍋:良し悪しですね。製造業の現場はまだまだ紙の方が適していることも多いんです。パッと配れてマーカーやペンで大事なところにザッと線を引いたりできます。電子化してタブレットなどで見るのではこうはいきません。
――たしかに。
間鍋:ただ、紙は保管や保存には適していません。ファイリングしても場所を取りますし、検索もできません。大事に保管しておいても次第に傷んでいくので、ここはデジタルが勝りますね。
“会議のための会議”がなくなり 3 ヶ月かかっていた仕事が 2 ~ 3 週間に
――適材適所ということですね。Evernote Business 導入の理由でもあった情報共有についてはいかがでしょうか。
間鍋:弊社は営業、調達、製造、設計、総務などの部署・チームに分かれています。ノートブックもチームで分けており、たとえば「営業」ノートブックでは「お客様名+プロジェクト名+担当者名」といった形でノートを作成します。
また、タグにチーム名と担当している個人名も入れています。1 つのタスクが他の部署にも関わることが多いため、チーム名をタグにして、検索できるようにしているのです。また、個人名をタグにしておくのは、主にタスク管理のためです。出社したときに自分の名前のタグで検索すれば、自分が関わっている仕事やタスクがすぐわかるようになるというわけです。
タスクはチェックリストで作成しておいて、終わったらチェックを入れます。こうすることで、作業の進捗が一目で分かります。
また、先ほど申し上げたようにノートは新しいものから並ぶので、仕事がどう進行しているかがわかります。これまではいわゆる「報連相」をしていたのですが、今は Evernote Business がその代わりになっていますね。
――Evernote Business で業務が効率化できたという実感はありますか?
間鍋:ええ。社員間での報連相ができるようになり、仕事のタスクが明確になりました。たとえば、補助金申請の資料作成が大変で、今まで誰が何をやれば良いのか不明瞭だったのですが、Evernote Business に誰が何をやるべきか記載したところ、成果物もタスクオーナーも明確になりました。
その結果、お客様からご依頼があった場合、従来は通常 3 ヶ月ほどかかっていた仕事が、今は 2 ~ 3 週間で済むようになっています。時間がかかっていた理由は主に会議が多かったせいなのですが、Evernote Business で情報をスムーズに共有できるようになり、”会議のための会議”がなくなったことが大きいですね。
――それは大幅な効率化ですね!
間鍋:社員の仕事の進捗が見えるようになったことも導入の成果です。内容+日付+名前でノートが溜まっていくので、仕事が見えやすくなったんです。そのおかげでストレスがなくなり、フォローもしやすくなりました。仕事のリアルタイム性が上がったと思いますね。
――これから Evernote Business の導入を検討されている企業に何かアドバイスをいただけますか。
間鍋:Evernote Business をなぜ使うのかという動機が大事です。弊社でいえば、社員がやっていることが見えないというイライラがあり、それを解消したかったということです。そのために、チェックボックスでタスクリストを作り、終わったらチェックを入れてもらうようにした。このように、For You (あなたに読んでほしい)から I Read(読みました)の流れを仕組み化しておくのがおすすめです。
あとは、歓送迎会の企画や CSR 活動などの社員が広く関わるプロジェクトで Evernote Business を使ってみると良いかもしれません。そこで、社員一人一人に役割をつけて、タスクを割り振る。まずは気軽に参加できるプロジェクトを通じて使い方に慣れてもらうことで、業務での活用も進んでいくのではないでしょうか。
――ありがとうございました。