「食は生命(いのち)」をスローガンとして、茨城県西部および千葉県の一部のエリアに向けた食料品の共同購入事業を展開する常総生活協同組合。地場の農・畜産物生産者と組合員を結び、安心、安全な食品の提供を目指す同組合の Evernote Business 活用法について、副理事長の大石 光伸さん、専務理事の柿崎 洋さん、共同購入部 筒井 拓朗さんに伺いました。
(左から)副理事長 大石 光伸さん・専務理事 柿崎 洋さん・共同購入部 筒井 拓朗さん
常総生活協同組合 Web サイト:http://www.coop-joso.jp
情報収集を効率化
大石「いつどこでどんなことが起こるかわからないだけに、食糧を巡る世界の動きには注意を怠ることができません。メディアの報道も私たちにとっては貴重な情報源で、以前から新聞記事の切り抜きを続けてきたのですが、現在こうした情報はすべて Evernote Business に蓄積しています。これまでは複数の担当者が目についた記事を新聞から切り抜いてファイリングしていた作業が、Evernote Business を導入してからは画像で撮って保存するだけになり、大幅に効率化しました」
「効率化だけでありません。保存した情報を即座に全員で共有できるようになった点は大きなメリットです。誰かが一度保存しておけば、それを私や他の職員が参照したり、業務に役立つ内容ならば周囲の人間にも知らせてみんなで活用できます。また、Evernote Business は Web サイトをワンタッチで切り抜き保存できる Evernote Web クリッパーと連携しているため、インターネットの情報も手軽に収集できるようになりました」
情報共有のコストも大幅に削減
Evernote Business の導入は、いわゆる IT コストの点でも大きな改善効果をもたらしています。常総生協では長年にわたって情報共有に Lotus Notes を利用してきました。しかし、自前でサーバーを運用する負担が大きいうえ、カスタマイズを行っていたためアップデートのたびにバージョン管理や互換性のなさに苦労していました。
大石「その点、クラウド型サービスの Evernote Business は運用が容易で、常に最新の機能を利用することができます。しかも、グループウェア製品を自前で導入するのに比べて圧倒的に低コストです。運用負荷、コストの両面で Evernote Business を選んで正解だったと確信しています」
個人利用で Evernote の利便性を体感
常総生協が Evernote Business を導入したのは、2013年4月のこと。かねてから個人で Evernote の便利さを実感していた大石氏がビジネス向けサービスの登場を知り、さっそく組合にも導入しようと考えたのがきっかけでした。
大石「ついに出た、という印象でしたね。導入後、どう私たちの業務に活用するかを考えた最初の試みが、新聞記事のスクラップでした。また、実際に仕事で使ってみて便利だと実感したのは画像の中の文字を認識して検索できる機能です。これは名刺のファイリングなどで重宝しています」
論文などを執筆する機会も多い大石氏は、強力な検索機能が非常に役立つそうです。
大石「欲しい資料をすぐに見つけ出せるようになりました。正直なところ、Evernote Business がここまでファイルサーバー的な使い方ができるとは予想していませんでした。現在はビジネスプレミアムの契約なので、個人のノートブックの 2GB に加えてビジネスノートブックとして職員数 × 2GB の容量が確保され、当生協全体では毎月 60~80GBのアップロードが可能です。これだけあれば、さまざまな資料をまとめておく資料庫としても十分でしょう」
タブレット利用で営業情報を即座に共有
Evernote Business 導入で、資料の収集や共有以上に注目したい成果が、日常のビジネスそのものの飛躍的な効率アップです。現在、常総生協の配送員は、全員が食品の配送業務にタブレット端末を利用しています。このタブレットは営業や企画の担当者にも配布されており、お互いの情報共有に利用されてきました。ここに Evernote Business が加わったことで業務に大きな変化が起こったそうです。
筒井「配送員が出先で見つけた見込客の情報を、その場でタブレットを使い写真撮影して Evernote Business に送り、その情報ですぐ営業担当者が動き出すという連携が可能になりました」
タブレットと Evernote Business を導入する以前にも、配送員が新築の住宅などを発見すると日報で報告し、それをもとに営業が出向くといった仕組みはありました。しかし事務所に戻ってきてから報告書に記入し、さらに地図を添付してファイリングするため、時間も手間もかかります。また紙の日報ではなかなか全員がすぐに回覧するわけにもいかず、効率面での改善が望まれていたといいます。
筒井「新規の組合員を獲得するには、引越の最中に駆けつけるくらいのスピード感がないと間に合いません。現在は、建築中の住宅を見つけたらその場で写真を撮り、Evernote Business に送信するだけです。このデータには GPS の位置情報が含まれているので、別途地図を添付する必要もありません。このため、見込客の発見とほぼ同時に動き出せるようになりました」
1 人で獲得できる見込客情報はこれまで月に 10 件程度だったのが、配達途中でも手軽に情報収集できるようになり、1 日あたり 5~10 件と飛躍的に増えたといいます。
筒井「この結果、現在 12 人の配送員と 4 人の営業担当者が時間をより有効に活用できるようになりました。具体的な営業成果の伸びは現在分析中ですが、スピードが以前に比べて格段に上がっていることは確かです」
新たな企画やディスカッションを生む
Evernote Business 導入の成果について、企画担当を務める柿崎氏は、情報共有やスピードアップに加えて、職員同士のコミュニケーションの下地作りができたと評価します。
柿崎「紙ベースのファイルでは、貴重な営業情報であっても全員がすぐに回覧・共有することは物理的に困難です。それが Evernote Business により手元のタブレットで閲覧できるようになってからは、『あの見込客へは、いつ訪問するの』といった会話が日常的に聞かれるように変わってきました」
いわゆる“話のタネ”を気軽に共有できるようになったことが、これまでにはなかった形の業務連携や新しい企画につながることを期待しています。
柿崎「今はまだ、これまでバラバラだった情報を Evernote Business に集約できるようになった段階です。今後は、これらの情報に含まれる数字の集計・分析や、定型フォームへの情報の整理・格納、あるいは業務の中の気づきや成果をナレッジベース化するといった、情報活用の質的向上が課題になると考えています」
ナレッジ基盤の確立を目指す
こうした情報活用の次のステップに向け、大石氏は Evernote Business によって構築されたナレッジベースを、常総生協全体のディスカッションとコミュニケーションの原動力として活用する構想を持っています。
大石「Evernote Business は画像やテキストだけでなく、音声も録音できるしビデオも録画できる。対面で会って話すコミュニケーションに一番近いツールだと思います。今はまだ、『Evernote Business に入れておいたから見てください』という活用にとどまる人も少なくありませんが、将来的にはこの集まった情報=ナレッジをもとに、縦横無尽に議論していく最初のスタート地点としていきたいです」