なかなか IT 化が進みにくい中小企業。「この情報や知識は社内のあの人しか知らない。なんとかみんなが同じ情報・知識を得ることはできないだろうか。」と考えている企業も少なくはありません。そんな悩みを Evernote Business で解決したのが、兵庫県で鉄板の切断・販売を行う日新産業株式会社。導入のきっかけや浸透するまでの経緯、Evernote Business によって何を実現できたのかを同社取締役 製造部長の橋崎牧人さんに伺いました。
情報をためるだけでなく、取り出して活用できることが魅力
――本日はよろしくお願いいたします。まずは Evernote Business を導入された経緯から伺えますか。
橋崎:私は 3 年ほど前から、個人的に Evernote を利用しておりました。兵庫県中小企業家同友会という会に所属しているのですが、そこでお世話になった方が、個人の学びなどを Evernote に蓄積しているという話を聞いたのです。
――なぜ使ってみようと思われたのでしょう。
橋崎:それまではクラウドメモという存在自体、知りませんでした。いつもは紙のノートにメモしていたのですが、後から見返すこともないし、情報をためても使うことがなかったのです。Evernote ならためた情報を「簡単に取り出して活用できる」。そして、「活用するから、情報をためたくなる」というところが魅力だと感じました。最初は紙のメモを写真に撮って Evernote に保存するところから始めましたね。
個人の頭のなかにあるノウハウや情報を集約する場として導入
――個人で使われていた Evernote をなぜ会社にも導入されようと思ったのでしょうか。
橋崎:社内で 3S (整理・整頓・清掃)活動というものを実施しているのですが、昨年から「情報の整理・整頓もしよう」という話が出て、それを今年の経営計画にも入れました。そのためのツールを探していて、それこそ Evernote Business ではないかと思ったのです。
私たちの仕事は受発注の 95% が電話か FAX というアナログな業界です。また、製品は図面を元にカスタマイズするオーダーメイドなので変更が多いですし、最近新卒・中途ともに社員が急増して会社の在籍年数による知識の差が生まれていると感じていました。それなのに、ノウハウは個人の頭の中にしかなかったり、PC スキルがないと情報にアクセスできなかったりという課題がありました。3S 活動によって物の整理・整頓はできても、「情報をどこに置くのか。」という課題のほか、いつでも誰でもその情報を手にできる環境づくりができていないという状況があったのです。活用されない情報に価値はありません。
Evernote のビジネス版の存在は知っていましたが、個人としても使いこなせていないと思っていたので、まずは昨年 10 月、Evernote Business の販売代理店であるデータキット主催のセミナーに参加しました。そこで、「こんなに便利で簡単に使えるんだ」ということを知り、すぐに導入を決め、翌月には運用を開始しました。
――他にも製品がある中で、Evernote Business の何が決め手になりましたか。
橋崎:すぐに始められる、とにかく簡単に使えるということです。フォーマットが決まっているので、業務システムにありがちな開発が不要です。また、感覚的な操作でどこでも誰でも使えますし、これならみんな使えるなと思ったからです。私たちはアナログな業界ですし、 IT に詳しくない人も多いので、簡単に使えることは不可欠でした。
――社員の方の反響はいかがでしたか。
橋崎:人間だれでもそうですが、やったことのないこと、経験したことがないことには抵抗感があります。当然です。まったく経験や体験がないからです。それでも私は「絶対に便利で使えるから、とにかくまずやってみよう」と推進しました。まずは情報の保存先を Evernote Business に決めて、とにかくそこに情報をためることに注力しました。その結果、プライベートでも Evernote を使い始める社員が出てくるくらい浸透させることができました。今年の 10 月には社内で Evernote 委員会を発足させて、全社展開する予定です。
情報が行きわたることでお客様対応の質が向上
――Evernote Business の具体的な使い方についても教えていただけますか。
橋崎:現在は、注文書や見積書、図面、さまざまな業務に関する知識や情報をすべて Evernote Business に保存することにしています。ノートブックは「営業」「設計」「工場」「総務」「研修」といった具合にプロジェクトや部署で分けていて、それぞれに入れておくべき情報の項目を定めています。
たとえば総務だったら、社内の連絡先一覧やプレゼンテーション資料のフォーマット、営業だったらお客様との打ち合わせメモや外注先ごとの特徴などを入れています。議事録などよく使うものは、フォーマットを作っていますね。こうやって情報の置き場とため方を決めると、みんな情報を入れやすくなるのです。情報がたまり、みんな同じ情報を見て、使って、お客様に接する。これだけで「社内のあの人しか知らない、分からない」という状況を解決し、お客様にチーム一丸となって対応できるようになりました。
また、事務所を改装するプロジェクトを行ったときは、共通のノートブックにイメージやアイデアなど関連する情報を入れていきました。こうすることで各自の空き時間に作業できますし、一同に集まらなくても情報の共有や議論ができるので便利でしたね。
――Evernote Business 導入の効果を実感されるのはどんなときでしょう。
橋崎:導入以来、「あ、それ Evernote Business に入ってるから」が合言葉になりました。私はなんでもかんでも Evernote と言ってしまっています。クラウドメモという特性のおかげで、同じ情報を、同じときにみんなで共有できる。こんな素晴らしいことはないと思います。
たとえば、お客様との打ち合わせメモを Evernote Business に保存しているおかげで、営業マンが変わってもお客様対応の質を担保できるようになりました。以前は同じことを Excel でやっていたのですが、簡単!見やすい!いつも最新!といううれしさから Evernote がダントツで使いやすいです。そもそも何のために情報共有するのか。弊社にとって、それは「チーム一丸となってお客様により貢献するため」です。そのために、Evernote Business というツールをフル活用していきたいと考えています。
Evernote はまさに「第二の脳」
――Evernote Business の良いところを教えてください。
橋崎:まずは操作が簡単なことです。新規ノートも+ボタンを押すだけで作成できます。それから情報が一覧になって、サムネイルがずらりと並ぶインターフェースも、とにかく見やすくて分かりやすいので気に入っています。いちいちファイルをダブルクリックして開かなくても中身が見えます。見やすいということは見る気が起きる。だから情報をためようという気持ちになります。
Evernote Business に情報を保存しておくと、その情報を安心して忘れることができるようになります。自分の代わりに Evernote が覚えておいてくれるので、必要なときは Evernote を見ればいいということになります。これはまさに「第二の脳」だなと実感しています。
――今後、Evernote Business の導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。
橋崎:重要なのは、何を実現したいのかを明確にすることです。そのために Evernote を使う。Evernote の役割は会社のビジョンを実現するためのさまざまな課題を解決することであって、その目的がなければただのメモアプリになってしまいます。ですので、「会社として何を実現したいか」を明確にすることがすべての出発点であり、肝になってくるのです。そして安心してください。Evernote Business は他の IT ツールと比較すると少ないコストで始められますし、使い方も簡単です。大事なのはすぐにやると意思決定し、まずやってみること。そして、やってみてから考える。このスピード感こそが、これからのビジネスを勝ち抜く鍵になってくるのではと考えています。
――ありがとうございました。