トレンドコラムニストとして、日本経済新聞や Nikkei STYLE、朝日新聞出版の dot. といった様々な媒体で執筆するダヨリン(ヨダエリ)さん。音楽をはじめとしたポップカルチャーやライフスタイルなどのトレンド全般から、男女の心理、IT 活用まで幅広い話題について親しみやすい文章で綴られるコラムには大勢のファンがいます。ブロガーとしても情報を発信されるなど、精力的に執筆活動を行うダヨリンさんですが、なぜこれほどまでに継続して文章を書き続けられるのでしょうか。
「ブログの日」である本日 2/6 (月)に、Evernote を愛用されているというダヨリンさんに伺った「文章を書き続けるコツ」をお届けします。
編集の学校やウェブのコミュニティから物書きの道へ
――本日はよろしくお願いいたします。多くの媒体で連載を持たれているダヨリンさんですが、そもそもどのようにしてフリーランスのコラムニストとして活躍されるようになったのでしょうか。
ダヨリン:大学卒業後、PR 会社に入社しました。もともと「書く」仕事に就きたかったこともあり、1 年半で会社を辞めて、ライターと編集者の養成学校に通い始めることにしました。それをきっかけに少しずつ文章を書く仕事をいただくようになったんです。
オンラインでも活動していました。インターネット以前、パソコン通信の時代に今でいう掲示板とか SNS みたいなコミュニティにハマりまして、そこで書き込みをしていたところ、ウェブのプロデューサーの方が声をかけてくださり、ウェブ関係のお仕事をいただくようになったのです。
また、友人から恋愛相談を受けることが多かったのですが、ケータイサイトのプロデューサーをしていた友人から「このスキルはもったいないよ」と言われて、ダヨリンの恋愛相談室というコーナーをケータイサイトで始めました。
――一方でご自身のブログも精力的に執筆されています。
ダヨリン:実は私、父の仕事の関係で小学生のときにドイツで暮らし始めたんです。その頃から本格的に日記をつけるようになったのですが、98 年頃からはそれを日記サービスを利用してウェブ上に公開するようになりました。そこからブログに移行して、今も続けています。日記歴は 30 年以上です(笑)。
- ダヨリンさんブログ:café dayorin
Evernote は紙のノートと同じ感覚
――継続的に文章を書き続けることのコツをぜひ伺いたいところですが、まずはダヨリンさんが執筆用のツールとしてお使いだという Evernote の活用法についてお聞かせください。
ダヨリン:Evernote は 2010 年から使っています。現在の大きな使い方としては、ブログや仕事の原稿執筆用のネタ帳です。昔からメモ魔で、紙のメモと並行して、ちょっとしたメモはテキストファイルで PC のフォルダに保存していました。今はそれが Evernote になっています。たとえば友人の話を聞きながらメモをとり、移動中や帰宅後に補足を書き込みます。そのメモをもとにコラムを書くというパターンは多いですね。下記のメモも、最終的に男性向け恋愛コラムになりました。
Evernote はいちいちファイルを開かなくてもいいし、「どのフォルダに保存しよう?」と考える必要もありません。マルチデバイス対応なので、PC とスマホで同じデータがすぐに見られるのも気に入っています。私にとっては Evernote は紙のノートと同じ感覚ですね。
――日記もそうですが、何でも書き残されるのですね。
ダヨリン:自分の感覚は信じていますが、自分の記憶力は信じていないんです(笑)。とにかく Evernote にさえ入れておけば何があっても安心できます。
Evernote は自分の頭の中の Google 検索
――仕事やブログのメモ以外ですと、どういったものを入れていますか?
ダヨリン:Web クリッパーはよく使います。それから、アメブロの有料プランを使っているのですが、読者の方からいただいたメッセージを Evernote に保存しています。アメブロのメッセージは検索機能がなく、探したいとき少し手間がかかるので。
その他ですと、Twitter を保存するのにも Evernote を使っています。ツイートの「その他の方法でツイートを共有」を選ぶと、メールでツイートを共有することができるんですよね。そこに Evernote の転送用メールアドレスを入力して、気になるツイートを保存しています。
洋服のコーディネートも保存しています。自分的にこれはよかったなと思うコーデがあったら、どれとどれを合わせたかというのを Evernote にメモで日付と一緒に入れておくんです。「コーデ」というキーワードをつけておけば後から検索も簡単です。
――ノートブックやタグで整理されているわけではないのですね。
ダヨリン:整理が面倒なのでノートブックやタグは使いません。とにかく後から探しやすいことが大事なので、検索用のキーワードを自分でノート内につけておけばそれで OK なんです。
キーワードは自分が検索しそうなものを考えてつけています。複数つけておくことで、「台湾 夜市」などのように組み合わせで検索できます。いわば自分の頭の中の Google 検索みたいなものですね。
それと、物書きは絶対にプレミアムプランにした方がいいと思います。以前、Evernote に入れたはずのメモがない!ということがあったのですが、プレミアム機能のノート履歴で何とかなり、ホッとしました。
――ところで、ダヨリンさんのスマートフォンのホーム画面を見せていただけないでしょうか。物書きの方がどのようなアプリを使っていらっしゃるか、気になる方も多いと思います。
ダヨリン:構いませんよ。文章を書くのに関連したアプリは右上に固めて配置しています。純正のメモアプリは起動が速いので、こちらで書いてから Evernote にメールで送ることも多いですね。原稿用紙のレイアウトで表示できるテキストアプリ「iText Pad」もよく使います。
ネタ切れはなし!キーワードからネタを膨らませる方法
――ありがとうございます。ここからは執筆の仕方などについても伺っていきます。様々な媒体とブログで継続的に日記やコラムを書かれていますが、続けるコツなどはあるのでしょうか。
ダヨリン:続けようと思って続けているわけではないんです。私は書くことで考えがまとまってスッキリしたり、謎がとけて癒されたり、何かに気付いて興奮したり(笑)するタイプ。だから書き続けているのだと思います。そういう意味で、その人に合った表現の仕方は色々だと思います。たとえば食べたものの写真を撮り続けるだけでも、目についた単語を記録するだけでもいいと思います。
――とはいえブログなどを継続して書きたいと思っている人は多いと思います。一番の問題はネタ切れだと思いますが、ダヨリンさんはネタに困ることはないのでしょうか。
ダヨリン:ネタ切れはあまりないですね。どのネタにするかで迷うことはありますが。仕事では Evernote のノートを検索して、その中で見つかったキーワードを膨らませて書くことが多いです。
ブログについては写真があった方がいいので、「いいな」とか「気になるな」と思ったらとりあえず写真を撮っておきます。後から写真を見返してブログネタにする感じですね。
――キーワードをどのように膨らませているのでしょうか。
ダヨリン:Evernote に入れているキーワードは本当に断片的なものです。仕事で原稿を書く場合、私はそこに「人が何を知りたいか、何で悩んでいるか」という視点をかけ合わせて文章にすることが多いです。たとえば「浮気」というキーワードだったら、「彼氏の浮気が発覚!でも、別れたくないので改善させる秘訣を知りたい」というテーマが浮かんでくるわけです。男性向けなら、「彼女の浮気が原因で別れてから、恋愛が億劫」とか。同じキーワードでも、どんな視点をかけ合わせるか、誰に向けて書くかで全く違うテーマに膨らませられますよね。
――コラムを書く上で意識していることはありますか?
ダヨリン:多方向からのツッコミです(笑)意識しているというより勝手に浮かんでくるのですが、それらを想定した上で自分の考えを書いています。それ以外ですと、するする止まらずに読めることは意識していますね。そのためには平易な言葉で書くこと。初めて読んだ人にはわかりづらいかもと思うことはきちんと説明することが大事だと思っています。
――ダヨリンさんの文章が読みやすく共感できるのにはそういった理由があったのですね。ブログや執筆をされている方には大いに参考になるお話でした。ありがとうございました。