9 月 2 日、メディア関係者の方々に向けて記事執筆や編集作業における Evernote の実践的な活用方法をご紹介するセミナー「Evernote スキルアップセミナー」を開催しました。
セミナーでは Softnic / TechWave 編集長である増田真樹さんをお招きし、実際の編集現場で用いられている使い方やコツなどをお話しいただきました。
本記事では、イベントの模様を写真と共にレポートします。
増田真樹さんは 1990 年頃からライターとしてのキャリアをスタート。その後、ブログサービスのココログや So-net ブログの前身となるサービスを立ち上げるなど、IT 業界の最前線で活躍されてきました。増田さんが編集長を務める TechWave は 5 年前に誕生した IT 系のメディアであり、特にメディアとリアルの連携を重視してイベントの開催などにも力を入れてこられました。
面倒な作業を抜いて、最終的に情報を記録するのにふさわしい Evernote
そんな増田さんが Evernote に出会ったのは、35 歳のとき。当初はアカウントを作成しただけで使ってはいなかったそうですが、プライベートでのある出来事をきっかけに Evernote を「情報を記録するツール」として使い始めたといいます。
また、東日本大震災もきっかけの一つでした。震災当時、増田さんの自宅は本棚が倒れるなどの被害を受け、復旧不可能な状態になってしまったのだとか。そうした経験から増田さんはスキャナを購入し、資料や過去に執筆した雑誌などをスキャンすることに。そこで情報を記録するツールとして選ばれたのが Evernote でした。
「Evernote は面倒な作業を抜いて、最終的に情報を記録するのにふさわしいと思いました」(増田さん)
増田さんは Evernote を「安心して記録させられるプラットフォーム」だと評価します。メディアでの仕事におけるメリットには次のようなものがあるといいます。
- 情報を溜めておくことで、何かについて調べる時間が圧倒的に速くなり、隙間時間を活用して資料を読むという仕事のスタイルが生まれた。 TechWave は速報のスピードにこだわっており、情報を検索すると関連ノートが表示されるコンテキスト機能も大きな役割を果たしている。
- チームでノートブックを共有するようになって、Evernote はさらに重要なツールに。過去にどういうことを書いたのかという記録やメモを記事と一緒に残しておけるので、複数人で仕事をする場合でも「知らなかった」という伝達ミスがなくなった。
- 記事を書く前にあらかじめ雛形となる予定稿を作成するが、これを共有しておくことで、チームメンバーがどういうストーリーで記事を書こうとしているのかを知ることができる。
また、新人のライターさんにも Evernote を共有することで、一人で抱えていた作業を複数人で行えるようになったり、他の人のノートを見ることで取材のやり方をイメージしやすくなるなどの効果もあったといいます。
様々な用途に活用
増田さんは他にも、Evernote を様々な用途に活用されています。
- 取材先で手渡される紙の資料はすべてスキャンして Evernote に保存。名刺は音声ファイルなどと一緒のノートに入れることで整理。メールで届くプレスリリースはそのまま Evernote に転送。添付ファイルがそのまま保存されるところがポイント。
- ウェブクリップでは資料性のあるものを特にクリップ。基本的には公式サイトをクリップするが、保存しておく価値があれば個人ブログでもクリップする。手がけているサイトやパートナーメディアの記事もクリップ。そうすることでコンテキストの対象となり、他の情報に紐付いてくれる。
- インタビューでは Evernote アプリで直接録音。タイトルに日付が入るため、管理も楽になり、ICレコーダーは持ち運ばなくなった。録音品質も満足。
「情報の型を決めずに、一番速く情報化できるのが Evernote のいいところ」
スピードを重視することと、文字認識の精度が優れていることから、増田さんは「人名」「プロダクト名」「会社名」以外のタグ付けはほとんど行わないそうです。ただし、情報のケアはやはり必要で、たとえば手書き文字など認識が不安な場合は、タイトルだけは入力しておくといった工夫をされています。
原稿そのものは他のソフトを使われるそうですが、そのための情報収集と整理を担うのが Evernote。予定稿を書く際は、まず箇条書きでリードとプロットを作り、Evernote に入っている資料を参照しながら考えを整理するのが増田さんのやり方です。
Evernote の導入で明確に変化したことは、「探したいものがすぐに探せるようになり、余計な仕事が減った」ことだと増田さん。お集まりいただいたメディア関係者の方々にも参考になるセミナーになったのではないでしょうか。