使い方と事例

文具王・高畑正幸さんに聞く、Evernote を活用したデジタル整理術

Evernote はよくノートやメモという言葉で表現されます。その意味で Evernote は“デジタルの文房具”といえるのかもしれません。そんな文房具を極めた達人といえば、通称「文具王」の高畑正幸さん。TVや雑誌でもよくお見かけするので、ご存知の方も多いでしょう。

誰よりも文具に詳しい高畑さんですが、実はデジタルにおいても例外ではありません。高畑さんは古くからの Evernote ユーザーであり、さらに ScanSnap のアンバサダーとしても活躍されているのです。

今回は、文具王・高畑さんの Evernote を活用したデジタル整理術に迫ります。

デジタルとアナログ、両方の良いところを活用

――こちらが高畑さんがお仕事をされているデスクですね。たくさんの文房具やガジェットがありますが、とてもきれいに整頓されていますね。さすがです!

高畑:実は二段ベッドを改造して作ったデスクなんですよ。

――そうなんですね! ScanSnap も複数台使われているんですね。

高畑:ええ。文房具のパッケージ、メーカーのリリース、カタログ、チラシなどをスキャンして電子化するのに ScanSnap は欠かせません。カタログをスキャンするとき、立体物などをスキャンするときといった具合に用途に応じて様々な ScanSnap を使い分けています。

――そうした電子化したデータを保存しておくツールとして Evernote をお使いいただいているということでしょうか。

高畑:そうです。というよりも、一旦は何でも Evernote に放り込むようにしています。たとえば原稿を書くときは、ポメラでドラフトを書いたらその原稿の QR コードを表示し、それを取り込むことで Evernote に保存しています。逆に編集部から校正が返ってきたときは、一旦紙に出力してから赤字で修正し Evernote に保存しておきます。

――デジタルで送られてきたものをあえて紙で出力し、またデジタルに戻すのですね。

高畑:ええ。人にもよると思いますが、雑誌記事の校正作業なんかは紙の方がやりやすいんですよ。

――送った校正を Evernote に残しておく理由は何でしょう。

高畑:仕事柄、同じ文房具について記事を書くことも多いんですね。そういうとき、過去に書いたものを参照しながら書きたいので、校正はすべて Evernote に残すことにしています。「今書いている原稿」と「過去に書いた原稿」の両方が Evernote に入っていると、何かと便利なんですよ。

領収書ノートブックを共有してリスト化を外注

――参考になります。書類も電子化されているとか。

高畑:領収書や請求書、レシートなどはすべてスキャンして、経費未処理ノートブックに入れています。実はこのノートブック、経費の入力代行をお願いしている方と共有しているんです。ここに領収書を入れると、その方がリスト化してくれるんですね。こうすると経理処理が非常に楽になるんですよ。

――なるほど。

高畑:他にはウェブクリッパーでウェブページをクリップしたり、日経電子版でおもしろいと思った記事を保存したりしています。ウェブクリッパーの場合、簡易モードを使うと広告などの余計なものが自動的に削られて保存できるので便利です。それから、複数ページに渡っていても、1 ページにまとめてくれますよね。保存したページは紙に印刷して書き込みをしながら読むこともあるのですが、Evernote にクリップすることで必要なところがまとまり、いらないところが削られるのでとても見やすくなります。

また、メールなどでよく聞かれる内容や毎回説明しないといけないことなどについては、テンプレートを用意して Evernote に入れています。たとえばサンプルを貸し出すときや、仕事の依頼を受けた際の依頼書などです。

――依頼書といいますと?

高畑:仕事の内容や会社名、担当者名、TV なら放送日、雑誌なら発売日といった内容を書き込んでもらうためのテンプレートです。取材依頼を受けたらまずこのテンプレートを相手に送って、書き込んだものが返ってきたら、それをまた Evernote に入れておくのです。こうすると日にちがたってからでも取材の詳細がすぐに確認できます。依頼メールを探すのは大変ですからね。

――ちなみに文房具の整理などはどのようにされているのでしょうか。

高畑:所持している文房具は数が多すぎるので、Excel での管理などはしていません。パッケージやマニュアルは Evernote に入れてありますし、新しいものなら情報はだいたいネット上にありますから、必要に応じて検索し、クリップしておけばそれでいいのです。

黄色の紙を使うことでサムネイルの視認性を向上

――デジタルとアナログについてはどのように使い分けているのでしょう。

高畑:先ほどの校正もそうですが、紙や手書きの方が向いていることもまだまだ多いです。たとえばイラストや図を使ってアイデアを書き出すときは、紙に手書きするほうが早い。そういうときはまず手書きで紙に書いてから、それをスキャンするのです。このとき、ポイントは白ではない色の紙を使うことです。私は黄色い紙を主に使っています。

――なぜ色付きなのですか?

高畑:Evernote に取り込んだ際、紙の色がサムネイルになって、手書きしたノートとそうでないノートがパッと見でよくわかるからです。Macでノートの一覧を見てみるとよくわかります。

――あっ! サムネイルが白と黄色ではっきり分かれていますね。

高畑:でしょう。こうすると、検索やタグ付けをしなくても、ザーッとスクロールしていくだけで手書きのノートだけを簡単に探せるのです。私が黄色を使っているのは、海外では黄色の紙に「仮のもの」という意味があるからですが、ここはペンの色を変えるでも何でもいいと思います。

――タグ付けして細かく管理されているのかと思っていました。

高畑:私にとって Evernote はきちんとまとめるためのツールではなく、何でも貼っておけるスクラップブックといった位置づけに近いのです。とりあえず、ここに入っているということさえわかっていれば何とかなります。モノが見つからない人の特徴に、“どの範囲を探せばいいのかがわからない”ということがあります。たとえば“確実にこの引き出しにある”とわかっていれば、時間さえかければ見つかりますが、“あるかもしれないけど、ないかもしれない” では絶望的です。私にとっては、その “必ず入っている引き出し” が Evernote なのです。いくらたくさん入れていても、ノート数は数万程度ですよね。それくらいなら、最悪ひとつずつ見ていってもいつかは見つかります。ただし、そのためには “Evernote に確実にある” という状況を作っておく必要があります。

――それをさらに見つけやすくするために、先ほどの色分けしたサムネイルが役立つわけですね。

高畑:それに、Evernote なら検索もできますよね。文字認識が非常に優秀です。リアル世界ならきちんと分類して整理収納しないとわけがわからなくなりますが、デジタルの世界は検索できるわけですから、カテゴリ分けする必要はないというのが私の考えです。

――先ほど領収書などを入れるノートブックを共有されているとお聞きましたが、他にも共有機能を使うことはありますか。

高畑:本を作るときにネタ出しで知り合いと共有することはありますね。お互いに面白いと思ったネタをどんどん放り込んでいくためのノートブックです。会話するなら Facebook などの方がやりやすいのですが、アーカイブとしておもちゃ箱のようにネタをためるためのツールとして Evernote は最適です。

最初から整理するのではなく、何かあったときに探す苦労をする方が良い

――Evernote の良さはどこに感じられますか。

高畑:今あるストレージサービスの中で群を抜いて優れたインターフェースですね。ちょっと大きめのサムネイルが並ぶのがとても見やすいです。それから紙のスキャンやキャプチャ、ファイルなど形式を問わずすべて入れておける柔軟性です。同一の扱いでフラットに探せるのが良いですね。もちろん、それらを一つのノートにまとめて入れられるというのも他のツールにはない良さだと思います。

――整理や収納の仕方についてアドバイスをいただけますか。

高畑:何かあったときに探しやすいよう、最初から細かく整理したり準備したりする人が多いですよね。たとえば Evernote だとノートブックを細かく分けたり、タグをたくさん用意して、入れるときにがんばってタグ付けしたり。でも実は毎回それをやるのは、とてもコストがかかることなのです。だから途中でやめてしまう。

それよりも、まずは放り込んでおくことです。最悪、必要になってから整理すればいいんです。たとえばファイルが 100 個あって、後から必要になるのは 1 つしかないとします。いつ使うかわからない、本当に使うかもわからないその 1 つのファイルを探しやすくするために 100 個全部をきれいに整理する必要はないんです。入れるときは楽をしておいて、本当にその 1 ファイルが必要になったときに探す苦労をするほうが、トータルのコストは低いんですよ。

――なるほど、とても参考になるお話でした。ありがとうございました!

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