人の記憶が十人十色であるように、どんなものでも記憶しておけるEvernoteの使い方も本当に人それぞれ。仕事にも学業にもプライベートにも使えるツールとして、多くの方がEvernoteを自分流に使いこなしています。今回お話を伺ったのは、明治大学大学院で生命科学を専攻する大砂まるみさんと石川晶雄さん。インタビュー時に就職を控えていたお二人は、Evernoteをどのように活用しているのでしょうか。
氏名:大砂まるみ/石川晶雄
所属:明治大学大学院 農学研究科
「論文を書くための資料を一元管理しています」
――まずはお二人がEvernoteを使い始めたきっかけを教えてください。
大砂「1年前に海外インターンを広める活動をしていたのですが、そのとき知り合った人がインターン生に『Evernote面白いよ。世の中変わるよ』と話していたので、使ってみようと思いました」
石川「私はEvernoteのことは知らなくて、大砂さんから教えてもらいました。最初は何が便利なのかわからなかったんですが、ChromeにEvernoteのエクステンションを入れてウェブクリップするようになってから面白いなと感じました」
――お二人ともクチコミということですね。大砂さんはEvernoteをどう活用されていますか?
大砂「Evernoteには色々入っていますが、たとえばレシピです。ネットで見つけたレシピ記事をクリップして『夜ご飯』というタグをつけて保存しています。それにもうすぐ教育系に就職するので、今の教育事情について書かれたニュース記事だとか使えそうな記事もクリップしています。」
――ウェブクリップ以外は?
大砂「研究論文を書くため、資料を集めてEvernoteに入れています。最近、これまでの研究の集大成になる論文である学位論文を作ったのですが、これを書くためには他の論文を読んだり、整理しておく必要がありました。以前は論文を整理するための専用ソフトを使っていたのですが、その場合は論文整理しかできないんです。Evernoteだと論文もウェブからの資料もまとめて一元管理できてとても便利です」
――Evernoteを使う前は、論文以外の情報はどのように管理していたのでしょうか。
大砂「管理は……していませんでしたね。メモしておく程度でした。今までこういうソフトがなかったので、重宝しています」
――Evernote内の情報はタグづけして管理されているのですね。
大砂「そうですね。ノートブックは自分で使っているものがひとつだけで、タグを振り分けて管理しています。もう一つノートブックがあるのですが、これは石川さんとの共有ノートブックです」
「共有ノートブックを”交換日記”のように使っています」
――共有ノートブックにはどんな情報を入れていますか。
大砂「石川さんはネットの面白い記事をよく見ているんです。その内容を私も知りたかったし、逆に私が知った情報も石川さんに伝えたいと思っていました。情報を共有できる方法はないのかなと思って調べたら、Evernoteに共有機能があることに気づいて」
石川「ウェブの記事以外にも、二人で『交換日記』のようにして使ってもいます」
――交換日記?
石川「たとえば『今日の取材でどんなことを話そうか』といった相談ですね。あらかじめEvernoteを使ってやりとりしておくんです」
大砂「私が黒字で、彼が赤字でそれぞれノートに書き込んでいきます。お互い好きな時間に書いておけるのがいいですね」
――共有ノートブックを連絡手段として使っているわけですか。
大砂「交換日記もそうですが、Evernoteの便利なところは時間を後ろにずらせるということですね。クリップしたものや保存したものを、どこにいても後からアクセスして見られるので便利です。スマホやタブレットも研究用も含めると4台くらいあるので、USBメモリを持ち歩かなくていいのは助かります」
――他には……ポストイットの写真が入っていますね。
大砂「これはポストイットを使って論文構成を考えている過程です。論文に入れるエッセンスをポストイットに書き込んだ後、並べ替えて流れを考えていくんです。でもこのままずっと置いておくわけにはいかないので(笑)、要所要所で写真を撮って残しておきます」
石川「ポストイットを使うと二人で相談しやすいんですよ。相談しながら論文の流れを簡単に入れ替えられますし」
――たしかにこの方法だと情報の流れが整理しやすいですね。
「Evernote は小さなコミュニティで情報をシェアするのに適しています」
大砂「実はここにくるまでの間、二人で話していたことがあって、それは『EvernoteとFacebookは何が違うんだろう』ということなんですが」
石川「EvernoteはFacebookよりもさらにクローズドなんですよね。たとえばウェブの面白いページをシェアするとき、Facebookだとフレンド全員に公開になりますが、Evernoteだと彼女だけに確実にシェアできる。もちろんFacebookでメッセージを使って伝えるという手もありますが、そこまでやるほどでもないんです(笑)。そういうとき、Evernoteの共有ノートブックに入れておくという距離感がちょうどいいと感じます」
大砂「研究室とかサークルとか、同じ情報を必要としている小さなコミュニティでシェアするなら Evernoteの方が適しているのかなと思います」
――情報をシェアするという視点でEvernoteを捉えているわけですね。お二人は今後、Evernoteをどのように活用していきたいですか?
石川「本好きの友人に今読んでいる本をよく聞くので、それをAmazonページか何かでクリップし、共有してもらうと面白いかなと思っています」
大砂「もうすぐ就職なので、そうするとまた使い方が変わるかと思います。どう変わるかが自分でも楽しみです」