大学生といえば、もっともデジタルに親しみ、使いこなしている世代といっても過言ではないでしょう。それを表すかのように、彼らの学習環境はここ数年で激変しています。スマートフォンやタブレットを使いこなしながら効率よく学習を進める大学生、そのリアルな声をお届けします。
今回、インタビューを受けてくださったのは、立教大学理学部物理学科 3 年生の三嶋 洋介さん。三嶋さんは、Evernote を中心とした様々なクラウドサービスを日常的に使っているそうです。
専門分野は宇宙。将来は研究職かウェブプログラマーに
――本日はよろしくお願いいたします。まずは三嶋さんの専門分野について教えてください。
三嶋:立教大学の理学部物理学科に所属しているのですが、僕の学部では 4 年生で専門分野を決めることになっています。4 年生になる来年取り扱いたい専門分野は宇宙ですね。数式を立てて理論を立てる分野と、実験で観測して理論を立てる分野があるのですが、僕は前者に進みたいと思っています。
――ということは、将来は研究の道に?
三嶋:そうですね。いろいろな業界を見てきたのですが、今は研究職に進むか、もしくはウェブ系のプログラマへの関心が高いです。
――まったく異なる二択ですね。
三嶋:実は今、プログラマとしてインターンをさせていただいているので、そちらへの興味がより高まっています。どの道に進むか、もう少し考えたいですね。
iPad Pro と Apple Pencil、Penultimate を使って講義ノートを作成
――では三嶋さんの学習環境について伺っていきたいと思います。Evernote を使っていただいているとのことですが、いつごろから?
三嶋:2012 年の 5 月から使っています。ニュースサイトの記事で Evernote の使い方が紹介されていたのを読んで、「すべてを保存する」というキャッチフレーズに興味を惹かれたんです。
その後、Evernote を活用している方のブログを見たときに、「思い出の品を写真に撮って Evernote に入れて断捨離する」ということが書かれていて、このやり方なら自分の部屋の物が減るかなと思って始めました。僕は物が捨てられないタイプだったんです。
――なるほど。そこから勉強にも活用されるように?
三嶋:そうですね、だんだんと活用の場が増えていきました。それで、はじめの 1 か月はベーシックプランを使っていたのですが、たくさんの情報を保存したくて、すぐにプレミアム会員になったんです。
――勉強ではどのようにお使いですか?
三嶋:講義ごとにノートブックを作成し、講義の内容を iPad 用手書きアプリの Penultimate を利用してまとめています。座学のときは iPad Pro と Apple Pencil を使って手書きでノートをとります。
――タイピングではなく手書きなのはなぜですか?
三嶋:以前はタイピングしていたこともあったのですが、手書きした方が記憶が定着するなと感じたんです。それに物理学科の講義ではテキストだけでなく数式や図が出てくることも多いので、タイピングではノートがとれません。
――たしかに……これはタイピングでは無理ですね。
三嶋:紙のノートでもいいのですが、結局 Evernote に入れることを考えると iPad Pro と Apple Pencil の組み合わせで手書きするスタイルが効率的だと思いますね。実際、まわりにも同じように iPad Pro と Apple Pencil で数式などを手書きし、Evernote に保存する使い方をしている学生が多くなってきています。
完成品だけでなく、思考のプロセスをすべて残しておきたい
――他にはどんな使い方をされていますか?
三嶋:配られたレジュメなどは PDF 化して保存しています。もし友だちが講義を欠席したら、ノートを共有したりしています。Evernote だと、友だちが Evernote を使っていなくても、ノートに固有の共有リンクを教えるだけで簡単に共有ができますから。
また、たとえば Word などで書類を提出しないといけないときも、Evernote でまず下書きを書いてから、それを Word にコピペしてメールで送るといった使い方をしています。
――Evernote で下書きをしてから Word にペーストするということですが、逆ではダメなんですか? Word で作って送信してから、その Word ファイルを Evernote に入れることもできると思うのですが……。
三嶋:そこはこだわっているところなんですが、僕は過程も残しておきたいタイプなんです。Word で作ってから Evernote に保存すると、完成品しか残せないですよね。そうではなく、どんな文書も過程から保存しておきたいんです。なので紙とかに書いた下書きでも、写真に撮ってとりあえず放り込んでおきますね。
――ただ、同じノートで書いているうちに下書きは完成品になりますよね。その場合、過程は記録できないのでは?
三嶋:そうですね、Evernote で下書きしているうちに完成することもあるので、それはそれで構わないんです。要は下書きのまま終わってしまうものや、途中で作るのをやめてしまったものでも残しておきたいということです。
もし Word で下書きしている途中でやめてしまった場合、わざわざそれをコピペして Evernote に貼り付けることはしませんが、最初から Evernote で書いていれば自然に残っていってくれますから。
PostEver を使って一日の行動を細かく記録
――ログを残すということに強いこだわりがあるわけですね。それでは学校や勉強以外での使い方も伺っていきたいと思います。プライベートではどんな使い方を?
三嶋:先ほどの「ログを残したい」ということにもつながるのですが、僕は 2012 年から日記をつけていて、それを Evernote に保存しています。何時に何をしたのか、そのとき考えたこと、感じたことなどをメモしています。
たとえば朝起きて何を食べたか、何時にどの電車に乗り、どこで乗り換えたか、何時に目的地に着いたかなどです。
――メモはまとめてではなく、そのつどとられるのですか?
三嶋:はい、ある程度はまとめてですが、電車などの移動時間を利用してサッと書いています。その日に投稿した内容が一つのノートにまとまる PostEver という Evernote の連携アプリを使っています。
――他の日記アプリは使わないのですか?
三嶋:日記アプリはたいていフォーマットが決まっていて、自由に書けないんです。僕には Evernote の白紙のノートが合っていました。
――なるほど。
三嶋:支出管理も PostEver でつけています。どこでいくら使ったかをメモすると同時に、レシートの写真を撮って同じノートに入れています。
また、Evernote のノートに Google ドキュメントへのリンクも張っています。Google ドライブ内のファイルの場合、リンクがサムネイルのように分かりやすく表示されるんですよね。このリンクを活用して、必要なときに他のサービスにすぐアクセスできるようにしています。
――かなり細かく日常の記録をつけているのですね。アルバイトなどはいかがですか?
三嶋:2012 年から 2015 年までカフェでアルバイトをしていたのですが、新人教育をする際にその人の特性や指導内容などを都度ノートにまとめていましたね。人によって適した指導方法は様々ですが、情報をノートに蓄積していくことでその人の価値観なども分かるようになり、指導がうまくいくようになりました。
Evernote に書き留めることが習慣になってから記憶力がよくなった
――Evernote を使ってよかったと思うことや、日々の生活が変わったと感じることはありますか?
三嶋:ログを残すようになってから、計画をきちんと立てて行動できるようになりましたね。この作業にはこれくらいかかるから、逆算してこの時間から始めないといけないといったように、作業時間を意識して動けるようになりました。
考えたことや学んだことを Evernote に書き留めることが習慣になってから、記憶力もよくなっていると感じます。Evernote に一度入れた内容を何となく覚えているんです。
もちろん検索を使うこともあります。Evernote の検索は精度が高くて、とりあえず保存しておけばあとからちゃんと見つけられるのがありがたいです。それからコンテキスト機能で昔の日記が出てくることがあるのですが、「自分はこんなことを考えていたのか」という気づきがあり、そこから新しい発見につながることもありますね。
Evernote は自分にとってまさに「第二の脳」になっていると思います。
――ありがとうございました。