日本ラグビーフットボール協会で、コーチングディレクターとラグビー U20 日本代表のヘッドコーチを兼務する中竹竜二さん。一方で、TEAMBOX 社の CEO というビジネスマンとしての顔も持つなど多忙を極めています。そんな中竹さんにとって欠かせないツールが Evernote。ラグビーの世界で Evernote はどのように使われているのでしょうか。中竹さんにお話を伺いました。
氏名:中竹 竜二(なかたけ りゅうじ)
ラグビーの試合についてとったメモを写真に撮って Evernote に保存しています。
――中竹さんは日本ラグビー協会のコーチングディレクターであり、同時に U20 日本代表のヘッドコーチでもありますが、Evernote はどんな場面で役立っていますか?
中竹:一番使っているのは、ラグビーの試合についてのメモです。選手の動きや、気づいたこと、戦略などを試合中や移動中のあらゆる場面でどんどん書き込んでいきます。といっても、タイピングやフリックで Evernote に打ち込むというよりは、手書きでノートにメモをとり、それを写真に撮って Evernote に入れていくことが多いですね。
――手書きの方がお好きなのでしょうか。
中竹:そんなことはないですよ。普段はMacを持ち歩いていて、タイピングしています。以前はすべてデジタルで作業していましたが、今年から現場を受け持つようになって、それでは間に合わないことが増えてきたのです。というのも、その場で書き込む内容はテキストだけではなく、図や絵を使うことも多いんですね。そういう場面では、アナログなノートとペンの方が有効です。ただ、遠征ごとにノートをとっていると、ノートがどんどんたまってきてとにかくかさばるのです。Evernote は後から確認するのにとても見やすくて便利なので重宝しています。
それから、遠征ではコーチ陣と一緒にどこでもシートを使って試合のレビューを行うのですが、それも写真で撮って Evernote に入れていますね。とにかく自分で書いたものをすべて撮って入れています。こういうメモは、後からだと思い出せなかったりしますからね。
――選手やコーチの前で話す機会も多いと思います。
中竹:週の頭に報告会を開いています。そういうときは Evernote のプレゼンテーションモードを使います。Apple TV を使って画面に映し出していますね。
――そもそも、中竹さんが Evernote を使い始めたのは何がきっかけだったのでしょうか。
中竹:2010年頃に使い始めたのですが、一番の動機はMacで書いたメモを外出先でも見たいということでした。それから、ペーパーレス化したかったのもありましたね。捨てたいけど、このページだけはとっておきたいという紙ものが多くて、それを写真に撮って Evernote に入れていました。
「グラノーラ会議」の議事録を Evernote で社員と共有。日々の成長につなげる。
――中竹さんが CEO を務めていらっしゃる TEAMBOX 社についても教えてください。そもそも TEAMBOX 社ではどんなお仕事を?
中竹:スポーツマネジメントをビジネス界に転用していくという業務を行っています。企業のトップレベルに対して、単に知識を学ぶのではなく、普段はしない体験――”カオス体験”と呼んでいます――をしてもらいながら成長を促すというマネジメントです。現在、ビジネスマネジメントはかなりスポーツの世界に入ってきていますが、逆はあまりないんですね。しかし、コンディショニングのチェックやトレーニングの仕組み、データの使い方など、スポーツの方がビジネスよりも優れている分野はたくさんあるのです。こうしたスポーツのマネジメントの仕組みを、ビジネスの世界にわかりやすく置き換えるという仕事です。
――中竹さんならではですね。その業務でも Evernote をお使いいただいていますか?
中竹:もちろん使っています。個人でも使いますが、社員とノートブックを共有して使うことも多いです。
――ノートブックを拝見してみると、ユニークなノートブックがありますね。特にこの「グラノーラ会議」というのは?
中竹:名前の通り、グラノーラを食べながらする会議です(笑)。誰かが会議に名前をつけたいねと言い出して、一人が「朝、グラノーラを食べながらやりたい」といったことで決まりました。実際にはそんなにグラノーラを食べているわけではないんですが……(笑)。
――(笑)。
中竹:グラノーラ会議で私は基本的に Mac のメモアプリを使うのですが、これを Evernote と連携させており、書いた内容が Evernote に保存されるようにしています。グラノーラ会議に出席する社員とこのノートブックを共有して、それぞれが皆で一つのノートを編集しています。わかりやすく言うと議事録ですね。
――議事録を Evernote で共有することのメリットはありますか?
中竹:ファイルがひとつであるところがいいですね。メールなどで共有していると、皆がそれぞれファイルを投げ合うので、どのバージョンが一番新しいものなのかわかりにくいのです。Evernote なら全員が一つのファイルを共有することで、常に最新バージョンのファイルが一つだけ入っている状態をつくることができます。いわば、Evernote は社員全員にとってのワークスペースといえるでしょう。
動画や音声なども積極的に活用。プライベートでも欠かせない存在。
――ワークスペースはまさに Evernote が提唱している概念でもあります。ちなみにグラノーラ会議ではどんなことを話し合うのですか?
中竹:情報共有と目標設定、先週の振り返りを行っています。目標は業務内容である必要はなく、「身の回りを掃除します」といった個人的な内容でもOKです。私はメンバーとよく面談をするのですが、Evernote に議事録を入れておくと、面談時に振り返るのが楽なんです。「前はこんな風に目標を決めていたね」とか「同じことをずっと言ってるよね」とか、振り返ることで成長を感じてもらうツールになっていますね。
それから、打ち合わせメモも全部入れています。たとえば講演や研修には社員を帯同させて、内容を本番中にすべて Evernote に打ち込んでもらっています。そうすると、終了して帰るときにはもう整理された状態で見えるので、すぐにフィードバックを受け取れるのです。
講演に関する打ち合わせでも、そのすべてに私が出席するのは無理なので、他の社員に出てもらってヒアリングした内容を Evernote で共有します。すごくいいなと感じているのは、動画が入れられることですね。
――動画ですか?
中竹:講演で流すために、私自身が出演している動画を作ることがあるんですよ。その動画で私のパートに撮り直しが入った場合、社員から原稿が送られてきて、「これを読んで撮った動画を Evernote で送ってください」と言われるんです。現場に行かなくても撮り直して共有できるのは助かりますね。また、逆に私が相手にヒアリングするときは、Evernote の録音機能を使っています。録音機能はとても便利で、たとえば打ち合わせで誰かが欠席したときなどは議事メモに加えて会議の音声を共有するんです。
――ラグビーとマネジメント業務の両方でヘビーにお使いいただいていますが、プライベートではいかがですか?
中竹:もちろん使っていますよ。忘れてはいけない情報をメモしたり、後から使えそうなものを写真に撮って入れたり……。そういえば先日、社員と都内のプールに遊びに行く予定があったのですが、残念ながら私が参加できなかったんです。後日、共有ノートブックに、社員がプールで楽しく遊んでいる写真が送りつけられてきました(笑)。
――(笑)。ありがとうございました!