佐賀県で建設業を営む株式会社セリタ建設。現在、Evernote Business と Salesforce を連携して情報管理を行っているという同社ですが、以前は社内サーバや個人 PC に情報が混在しており、共有がうまくいかないという課題を抱えていました。Evernote Business の導入でどのように改善したのか、同社専務取締役の芹田章博さんにその効果について伺いました。
社内の情報管理のために Evernote Business を導入
――本日はよろしくお願いいたします。Evernote Business 導入以前、どのような課題を抱えておられたのでしょうか。
芹田:Evernote Business 導入以前は、情報が社内サーバや個人の PC に混在しており、資料を探すだけでも手間がかかるという問題がありました。さらに整理の仕方にも課題があり、いくつものフォルダに分けて入れたりすると、もう迷宮入りしていたのです。
――フォルダの下にフォルダを作って……となると探すのも一苦労ですよね。
芹田:そうなんです。社内サーバのフォルダの一部を更新したら、日付を書き換えるなどのルールを決めていたのですが、なかなかその通りにはいきませんでした。履歴も残りませんし、視認性も悪かったですね。
それに、そもそも社内サーバに大切なデータを保存しているリスクが高いことにも気づきました。情報の持ち出しによる漏えいのリスクもありますし、たとえば落雷や停電があると、落ちてしまいます。弊社は工場を併設しているのですが、そちらにも影響が出ます。そういった背景を考えると、クラウドの方が安全なのではと考え始めたのです。
――Evernote Business を選んだ理由は何だったのでしょう。
芹田:もとは OneNote を個人で使っていたこともあり、そちらを会社に導入しようとしたのですが、なかなか共有がうまくいきませんでした。当時、OneNote にはアプリ版が存在しなかったので、外出先などではローカルでデータを更新して、会社に戻ってから同期するというやり方をしていたのです。
それに、弊社では Office も使っていて、一つの会社(Microsoft)のソフトだけでシステムをまかなうのはリスクがあると考えたのです。何かあったとき、その会社の事情ですべてが引っ張られますからね。
そんなときにちょうど Salesforce を導入することになり、そこと連携できるサービスで、なおかつアプリ版もあるということで Evernote Business を選びました。
ただ、最終的には私が Evernote という会社に共感したという部分が大きいのかもしれません。ベンチャー的な気質だったり、オープンな社風だったり、100 年続く企業にするという思いだったり、そんな会社のツールを使うことで、自分もそんな会社にしたいという憧れがあるのかもしれません。
工事案件など共有すべき情報を部門ごとに保存
――ありがとうございます! 実際に会社では、どのように Evernote Business をお使いなのでしょうか。
芹田:小規模の会社なので、全体では 7 名で使っています。営業が 4 名、総務が 1 名、経理が 1 名です。使い方としてはまず、工事案件ごとにノートを作成して、そこに関係する資料を統合しています。ノートブックには「今年度の行事」の名前をつけ、さらに各ノートには「XX の案件」とタイトルをつけます。情報量として膨大になるものは外し、工事の案件を進める上で大事な資料だけをノートにまとめています。
たとえば CAD 図面、数量表の Excel、工事の写真に注釈機能で注意書きを書いたもの、入札に関わる契約関係の書類、経理関係の資料など、工事の案件に紐付く資料ですね。一つのプロジェクトに複数の人、複数の部署が関わるので、情報を共有する必要があるのです。これをフォルダでやるのは難しいのですが、Evernote ならノート単位なので見やすいです。
その他、共有すべき資料を部門ごとに集積しています。
――共有すべき資料とは?
芹田:営業部門なら、技術資料、他の入札の結果、行政の発注資料。総務なら、法務の一般契約、各種法律、備品管理、広報的な素材などですね。
また、ノートブックの名前には営業なら01、総務なら02という番号を頭に振ることにしています。これで、名前を見ればどの部門の資料なのかがすぐにわかります。
――Salesforce との連携についてはいかがでしょう。
芹田:Salesforce では商談や顧客などの情報を管理しているのですが、その情報に紐づく様々なデータ(写真・画像・PDF・オフィス文書など)を Evernote Business に保存しています。お互いが補完し合う関係で、相乗効果が出ていると感じます。それぞれを単体で使うよりもいいですね。
「あの資料どこやった?」という声がほとんどなくなり、営業効率が 80 % 向上
――Evernote Business 導入の効果をどんなところに感じていますか?
芹田:「あの資料どこやった?」という声がほとんどなくなりました。ノートにコメントが入れられるので、チームで共有したとき、誰が見ても資料の進捗や役割を明確にできます。Evernote だけの効果というわけではありませんが、導入後は営業効率が 80 % は上がったと実感しています。
他に役に立つのがプロジェクトの引き継ぎのときです。たとえば営業から現場に作業を引き継ぐとき、営業が感じたお客様の人となりや工事の背景なども一緒に共有できます。データだけでは伝わらない情報も Evernote Business なら引き継げるのです。
――Evernote Business のどんな部分を気に入っていただいていますか?
芹田:検索が速く、文字認識の精度が高いところです。スマートフォンで外出先から使えるのもいいですね。お客様の案件の資料をまとめて持ち運べますし、検索すればそのお客様に関する情報がまとめて上がってきますから、ちょっと時間が空いたときに過去の情報をサッと調べられます。
私はプライベートでも Evernote を使うので、Evernote Business なら個人と仕事の切り分けがしっかりできるのもいいですね。最近は仕事とプライベートの境界線がなくなって、ノマドのような働き方をする人も増えていますよね。その分、個人とプライベートのデータが混在してしまうことは注意しないといけません。
――個人としてはどのような使い方をされていますか?
芹田:Google カレンダーと連携して、イベントごとにくるメールや FAX などを Evernote に保存しています。そのノートリンクをカレンダーに貼り付けておくと便利なんですよ。
――最後に、社内で Evernote を定着させるためのアドバイスがあればお願いします。
芹田:「会社として Evernote Business を使う」「今日からここに保存するんだ」というルールを決めてしまうといいのではないでしょうか。Evernote Business を導入する!と宣言して、社長自らが強いメッセージを発信していけば定着していくと思いますよ。
――ありがとうございました。