使い方と事例

製造業ノマドワーカー・堀江賢司さんの Evernote 活用術

幟、旗、幕など布への印刷を行う、のぼり製造業の堀江織物株式会社に勤務する堀江賢司さん。愛知にある本社ではなく、東京で独りノマド営業所としてコワーキングスペースを点々とする堀江さんのワーキングスタイルに Evernote はなくてはならない必須ツールなのだとか。のぼり製造業というアナログな業界の中でデジタルツールをどのように活用されているのか、お話を伺いました。

氏名:堀江賢司 (ほりえ けんじ)

所属:堀江織物株式会社

Twitter: @kenji904

blog:東京ノマド 営業所

「ノマドという働き方と Evernote の相性は非常にいいと感じています」

――堀江さんは東京でノマドワーカーとして働かれていると伺いました。その中で Evernote が役立っているとか。

堀江「ええ、私は愛知県に本社がある堀江織物株式会社という会社で働いています。といっても本社勤務ではなく、東京で“独りノマド営業所”としてコワーキングスペースやクライアント先にいることが多いです」

――なるほど。最近ノマドスタイルが流行していますが、堀江さんの場合はフリーランスではなく、伝統的な業種の中で現代的な働き方をされているというところがとても面白いですね。

堀江「そうですね、東京では新規事業開拓をやっています。もちろん本社との行き来ややりとりも頻繁に行いますし、そうした自分のスタイルと Evernote というツールとの相性は非常にいいと感じています」

――具体的にどんな使い方をされているのでしょうか。

堀江「まずは一般的な使い方ですが、名刺管理ですね。1週間か2週間分に一度、まとめてScanSnapで取り込みます。愛知の本社に月のうち1週間ほど戻るので、そのときに上司が溜めている名刺も取り込みます。FastEver Snap で取り込んでもいいのですが、数が多い場合は ScanSnap の方が楽ですね。それに ScanSnap だと裏表を一気に取り込めますよね。これが便利です」

――というと?

堀江「名刺管理の方法は僕のやり方を @ushigyu さんがブラッシュアップして、ブログでまとめてくれていますが、表裏を両方スキャンした上で一つのファイルにしてくれるんですよ。こうするとEvernoteに取り込んだ後のサムネイルが、常に名刺の表の面で表示されるんです。すると名刺のサムネイルだけザッと眺めるときに見やすいのです」

――なるほど! 後から検索で探したりすることも?

堀江「もちろん、検索も使いますよ。というよりも検索ばかり使うので、タグ付けをほとんどしないんです。つけるとしたら「名刺」というタグではなく、その人とお会いしたイベント名などですね」

――Evernote には OCR 機能があるので後からでも探しやすいですよね。

堀江「そうですね。それだけではなく、私はよく検索する方の名刺には、名前などの情報をテキストでも入れて、検索の精度を上げています。スキャンしたときにも OCR 情報を埋め込み、自分でもテキストで入力し、Evernote 自身の OCR 機能も使う。そうやって保険をかけてより探しやすくしているんです。といっても名刺交換してその後まったく連絡を取らないことも多いので、基本的には“名刺を 2 回探したら、そのついでに名前を入れる”という方針ですね」

――全部の名刺データに名前を入力するのは手間ですから、それが一番効率のいいやり方ですね。

堀江「あとは、その方のメールの署名も入れますね。実は名刺よりも署名の方が情報量が多かったりするんですよ。それに署名ならテキストなので絶対に検索で出てきますし、コピーできるから自分で打たなくて済みますし」

――署名ですか! 言われてみればたしかにその通りですね。他にEvernoteに保存しているものはありますか?

堀江ウェブクリップとか、クックパッドのレシピとか、子どもの絵を写真で保存したりとか、RSS を飛ばしたりとか……。仕事では注文書や資料、見積もりなどの書類等々、紙物を取り込むことが多いです。基本的にタグは使わず、ノートブックで細かく分類をしています。クリップするときは、Clearlyを使うと、サイトのメニューなど余計なものを省いたスッキリした形で保存できて気に入っています。あとはインターネット FAX ですね」

「インターネット FAX を使って書類を Evernote に自動送信しています」

――インターネット FAX ?

堀江「たとえば出先で書類をいただくとします。それを FAX をお借りして自分宛にインターネット FAX で送信するんです。すると Gmail に FAX のデータが届くので、そのメールをさらに Evernote アドレスに自動転送します。これならいちいち書類を持ち帰ってスキャンする手間もありません。どうせ後でファイリングすることを思えば、送信するだけで Evernote に入る方が便利ですよね」

――そういったところで仕事の効率化を図っているわけですね。

堀江「といっても何でもデジタルで処理するというわけではないんですよ。私は同時に紙の手帳も使っています。実は一時期、商談でもノート PC を持っていって Evernote でメモをとっていたんですが、“のぼり製造業”という業種的にちょっと気が引けたので紙の手帳に戻しました。というのも、アナログな業界ということもあって、商談中にノート PC を出すというのが失礼にあたることが多いんですよね」

――たしかにIT業界だと、会議では皆さんノート PC を広げていますが、そうでない業界も多いですよね。

堀江「そうなんです。それに、書き込んだものをザーッと見ていく点では、デジタルはパラパラとページをめくれるアナログの手帳にはやはりかないません。どちらかというのではなく、アナログとデジタルをうまく使い分けていくのが大切なんです。Evernote の本当に便利なところは、アナログな紙類も、デジタルなデータもすべてまとめて一括管理できることだと思いますね」

――他に堀江さんならではの使い方があればぜひ教えてください。

堀江「うーん……エンディングノート、でしょうか」

――エンディングノートですか! ……あ、本当に「エンディングノート」というノートブックがありますね。

堀江「自分の身に何かが起こったときには、Evernote を見てくれ、と。人生のすべてを記憶しようと考えると、最後のノートはエンディングノートだと思うんですよね。

家族もあまり知らない僕の個人口座や証券会社の口座とかいわゆるへそくりとかどうしよう?とか思うわけなんです。ネットバンキングやネット証券などは昔と違って通帳など無いので、不明金になってしまうんじゃないかと思うと、心配になってきて、きちんと情報をまとめておいたほうがいいのかなと思っているんです。

なので、自分の身になにか起こったときは、Evernoteのエンディングノートというノートブックにまとめてあります。Evernote はアプリ自体のパスワード(※ プレミアム機能、iPhone と Android のみ対応)とは別に、テキスト単位でもパスワードがかけられるので、他人に見られないようにセキュリティーをかけるのには、今のところは一番いい方法かなと思っています。」

――家族がいると、自分が死んだ後のことも考えておく必要がありますよね。おろそかにしがちですが、大切なことだと思います。

「書類を作るのに Skitch は最強です」

――堀江さんは Skitch も愛用されていると伺いました。

堀江Skitch、すばらしいですよね。私が Mac に乗り換える大きな理由が Skitch でした。本当に神ツールだと思っています」

――ありがとうございます! どういった使い方をされているのでしょう。

堀江「私は注文書をエクセルで書くのですが、そのときにデザイナーが作ったデザインをキャプチャして一緒に貼り付けるんです。提案資料を作るときにも Skitch でデザインの欲しいところだけを切り取り保存してパッと貼り付ける。サイズなどのデータも書き込めて、URL も張れ、非常にスピーディーです。Skitch 最強ですよ」

――なるほど、デザイン案などを入れ込んだ書類を作るとなると、切り取りから保存、貼り付けまでが素早く行える Skitch の本領発揮ですね。

堀江「スクリーンショットを撮って、別のソフトで開いて切り取って……とかやるのは手間だしややこしいですからね」

――お話を伺って、アナログがメインの業界にデジタルツールを巧みに取り入れていらっしゃることがよくわかりました。最後にEvernoteビギナーにアドバイスをお願いします。

堀江「“何を処分したいか”ということを考えるといいと思います。それも“後から探したいもの”ですね。Evernote は保存することよりも、それを後から探せるということの方が重要だと私は思っています。保存だけなら PC でもいいわけですからね。クラウドで保存して、いつでもどこでも探して取り出せるというのが重要です」

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