使い方と事例

「テクノロジーが音楽業界を激変させている」 – tofubeats が語るこれからの音楽

インターネットの普及とテクノロジーの発達で、急速に変わり続ける音楽業界。それを象徴するかのように、個性豊かな新世代のミュージシャンが続々登場しています。

インターネット上でオリジナル楽曲を発表していたことをきっかけにメジャーデビューを果たした tofubeats さんも、デジタル時代を代表するトラックメーカーの一人。自身の音楽活動に加えて、ミュージシャンへの楽曲提供やリミックスなど幅広く活動されています。

そんな tofubeats さんの創作活動には、様々なデジタルガジェットとクラウドサービスが欠かせないといいます。中でも重要なツールとしてお使いいただいているのが Evernote。どのようにご活用いただいているのかを伺いました。

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複数台の Mac をシームレスにつなぐために Evernote を導入

−−tofubeats さんが今の音楽業界をどのように見ていらっしゃるのかというお話も伺いたいのですが、まずは創作活動において Evernote をどうお使いになっているのかを聞かせてください。

tofubeats:文字に関する作業はすべて Evernote で行っています。作詞はもちろん、仕事に関するフラッシュアイデアや、文章仕事の原稿、ちょっとしたメモなど、本当に何でも Evernote に入れていますね。

−−そもそも Evernote をお使いになったきっかけは何だったのでしょう。

tofubeats:僕はガジェットをたくさん持っていて、Mac 系のデバイスだけで 6 〜 7 台あるんですよ。自宅がある神戸と東京を行き来することも多くて、外出用と自宅作業用でデバイスを使い分けているんです。それらをシームレスにつないで情報を共有できるツールはないかなと思って、いろいろアプリを試しました。その結果、Evernote に落ち着いたというわけです。使い始めたのは、たぶん 2012 年の頃だったと思います。

インターフェースの良さとスピードの速さが Evernote の長所

−−数あるアプリの中で Evernote を選ばれた理由は?

tofubeats:インターフェースを気に入ったからです。とりあえず何でも放り込んでおけば、新しいもの、編集したものが自動的に上がってくるのがいいですね。サムネイルがプレビューできるのも見やすいし、別ウインドウや一画面表示など表示のスタイルが選べるのも便利です。

ノートのインターフェースで特に気に入っているのは、区切り線がパッと引けること。僕にとって Evernote はメモなので、一つのノートの中でも「ここで一区切り」とできるのが本当に使いやすいのです。

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アプリケーションのスピードの速さもいいですね。別のサービスを使ったこともあったのですが、とにかく重かったんです。Mac で仕事をしているときは、つねに Evernote を開いている状態ですから、インターフェースやスピードはとても重要なポイントなんです。

それから検索性の良さ。すぐに目的のノートが見つかるので、ノートブックやタグは特に使っていません。

−−ノートの共有機能などはお使いでしょうか?

共有機能を使うことはほとんどないですね。Evernote は完全に自分のために使っているという感じなので。データの共有が必要なときは、仕事用の Dropbox があるので、そちらを使っています。

−−目的によって使い分けをされているのですね。他にお使いのクラウドサービスはありますか?

そうですね。自分の楽曲をアップロードするときは SoundCloud を使うこともありますし、デザインなどの作業では Adobe Creative Cloud も利用しています。

アーティスト活動における Evernote の活用法

−−Evernote では文字に関する作業を行っているとのことですが、具体的にノートの内容を教えていただけますか。

tofubeats:まず作詞ですが、形にする前に「要素」をたくさん挙げて、それを Evernote にメモしています。たとえば女性アーティストに提供する楽曲であれば、女性誌などを読んで、そこから気になる単語をどんどんピックアップしていきます。それらを Evernote に残しておけば、仮にそのとき使わなかった単語でも、また別の機会に使えますからね。

それに、歌詞に関しては単語の「かぶり」チェックにも使えるんです。「この単語、今までにもけっこう使ってなかったかな」と思ったら、そのキーワードで Evernote 内を検索すれば過去の歌詞が出てくるので、チェックも楽なんですよ。

−−なるほど! Evernote の検索機能の応用ですね。

tofubeats:他に Evernote に歌詞を入れておいてよかったと思うのは、ライブ中に歌詞を忘れそうになったときですね。手元の Mac で Evernote を開いて歌詞を見ながらパフォーマンスするなんてこともあります。

自宅にボーカルブースがあったときは、スマホの Evernote アプリで歌詞を書いてから、ボーカルブースに入ってタブレットで見るなんて使い方もしていました。一度書けばシームレスにマルチデバイスで使える良さですね。

あと、僕は歌詞や曲を 8 割くらい書いたら、外でチェックするようにしてるんです。Evernote はスマホから使えるので、歩きながら気づいた修正ポイントをメモしておき、戻ってからパソコンを使って直したりしています。

−−他のミュージシャンの方とスタジオに入ることも多いと思いますが、そこでも Evernote を使われるのでしょうか。

tofubeats:ミュージシャンには iPad を使う人も多いのですが、デジタルガジェットは故障したり電源が切れて充電するまで使えなくなってしまう可能性もあるので、スタジオではまだ紙に印刷することが多いですね。

僕自身はスタジオで使った紙の歌詞やテイク表に書き込みをして、それを写真に撮って Evernote に保存するようにしています。

−−他にはどのような情報を Evernote に入れていますか?

tofubeats:仕事のタスクリストや原稿仕事の文章、それから買いたいものや、自分の体のサイズなどもメモしています。たとえば指輪を買うなら指のサイズが必要ですが、Evernote に入れておけば覚えておかなくてもいいですし。

イベントやツアーなどで全国を回る機会が多いので、そういった旅の行程表なども入れています。本当にちょっとした予定、たとえば「今日はカレーを作る」みたいなことも Evernote にメモしていますね。

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名前の由来は「ドメインがほしかった」こと

−−ありがとうございます。ここからは tofubeats さんご自身と、現在の音楽業界についてもお話を聞かせてください。まずはお名前の由来から伺いたいのですが……。

tofubeats:名前をつけたのは高校生のころですね。当時、自分のドメインがほしかったんですよ。それでまだ取られていないドメインで何かないか、友だちと一緒にいろいろ考えた結果、tofubeats になったんです。

−−ほしいものがドメインというのもすごいですね。

tofubeats:自分のサーバに音楽をアップしたかったんですよね。ドメインを取得するのが、自分の土地を買うみたいな感覚だったんです。でも、あまりかっこよすぎる名前は嫌だなと思って(笑)、tofu というちょっとゆるい単語に beats を組み合わせました。

テクノロジーは創作活動に大きく影響している

−−絶妙な語感ですよね。tofubeats さんは楽曲はフルデジタルで制作されているとのことですが、今の音楽業界にはそういったミュージシャンが増えてきているのでしょうか。

tofubeats:そうですね。歌詞を書くのも、僕と同世代のミュージシャンはスマホで書いている人が多いですよ。逆に紙でないと書けない、書かないという方もまだまだ多いです。

−−そういったテクノロジーの要素が創作活動に影響を及ぼすことは?

tofubeats:大いにあると思いますね。たとえばスマホや PC だと、難しい言葉も一発で漢字変換できるじゃないですか。だから歌詞でも気軽にそういう単語を使えるんだけど、紙で書いていると難解な漢字は思い出せなくて、じゃあ違う言葉にしようとなることもあるみたいです。インターフェースが違うだけで、アウトプットも変わってくるんですよ。

−−デジタルの影響は歌詞だけでなく、楽曲についても?

tofubeats:もちろん影響はあります。まず楽譜が読めなくても曲が作れるということですよね。それから、楽器ができなくても各楽器のパートを打ち込んで録音できるので、最初から最後まで一人で作編曲を完結できるんです。

そうなると、求められるスキルも変わります。以前は作曲家には何かしら楽器の演奏ができるスキルが必要でしたが、今はむしろ、PC やソフトを使いこなすスキルの方が求められるようになっていると感じます。

また、多忙な DJ が飛行機の中で移動中に作曲するケースも増えています。ノート PC だと、キーボードが鍵盤代わりになるので、キーの配列分の音階しか使えなかったりするんですよ。つまり、できあがる楽曲のメロディーが、「飛行機」と「ノート PC」という環境の影響を強く受けるわけです。

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今後の音楽ビジネスに必要なのはサプライチェーンを意識すること

−−なるほど。テクノロジーの恩恵で「一人で」「場所を選ばず」創作活動ができるようになり、そうした制作スタイルが作品そのものにも影響を及ぼしているわけですね。一方で音楽業界全体が、デジタルとインターネットの影響により、転換期を迎えています。音源自体はインターネットでフリーで聴けるようにして、そこから派生するライブなどのビジネスで収益を上げようとする動きから、聴き放題をうたうサブスクリプションまで、音楽業界は大きく変化していると思いますが、tofubeats さんはどのように業界を見ているのでしょうか。

tofubeats:僕自身、もともと音楽をインターネットにアップしてフリーで聞いてもらって、そこからメジャーデビューにつながった立場です。ただ、サブスクリプションサービスについては、自分が知っているものしか探せなかったり、新譜が聴きにくかったりと、ちょっとついていけないところもあると感じています。音楽業界が尖りすぎてきているという印象も受けます。

自分自身について言うと、音楽を作るだけではダメだと考えています。今後の音楽ビジネスで重要なのは、作った音楽をどう生かすかということ。サプライチェーンを意識する必要があるでしょう。

多様性も大事です。僕が神戸に住んでいる理由の一つでもありますが、東京にすべての音楽・ミュージシャンが集ってしまうのは面白くありません。若者が聴ける「神戸の音楽」があってもいいんじゃないかと思いますね。

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