社会保険労務士とは、社会保険や労働保険などの行政手続きの代理代行、給与計算のアウトソーシング、就業規則などの就業ルールの策定や改定、人事労務にまつわるトラブルの対処といった様々な業務を専門に取り扱う人事のプロフェッショナルです。
そして今回、横浜市にオフィスを構える社会保険労務士事務所である、わち人事労務事務所を訪れました。こちらでは業務に Evernote Business を取り入れており、効率化を進めているといいます。どんな使い方をされて、具体的にどんな効果があったのかについて、同所社会保険労務士の和智英人さんに伺いました。
打ち合わせの記録を共有できるツールを探していた
――本日はよろしくお願いいたします。まず、Evernote Business を導入された理由を教えてください。
和智:昔から個人的に Evernote をずっと使っていたので、使い方などはもともと知っていました。そんな折、Evernote Business の販売代理店であるビーアイピー株式会社の齊藤社長から Evernote Business の話を聞いて興味を持ちました。
社会保険労務士事務所は各担当者が一匹狼になりがちで、お客さんの課題を事務所の他のスタッフと共有するという文化が根付いていません。そのため、どこでどんなことがあって、どんな打ち合わせをしてきたのかという進捗状況が見えにくかったのです。
スタッフ自身も、一日に何本も打ち合わせすると内容を忘れたり、見たいときにノートが手元になかったり、打ち合わせに行ったときの記録が残らないなどの課題がありました。
この課題を解決するために、送信したメールや手続き情報の控え、打ち合わせに必要な情報などをすぐに確認できるツールがほしいと思っていたんです。
――クライアントの情報をスタッフ間で共有し、またスタッフ自身も情報をいつでもどこでも取り出せるソフトが必要だったというわけですね。
和智:はい。これが解決できれば、業務効率化だけでなく、サービス向上にもつながると考えました。
――他のソフトは検討されたのでしょうか。
和智:より高価な顧客管理システムなども検討しましたが、費用対効果が見えなかったのです。宝の持ち腐れになる可能性も考えると、初めてのスタッフでもわかりやすく使えて、コスト的にも導入しやすい Evernote Business だろうと考えたのです。
――コスト以外に導入の決め手はありましたか?
和智:Evernote Business なら、ためておいた情報を共有することで新しいスタッフにも過去のやりとりが見えますし、それが引き継ぎのガイドにもなります。
それから、写真やファイルをアップロードしなくていいという仕様も気に入りました。もちろん、実際にはアップロードしているわけですが、ドラッグ&ドロップでノートにひょいっと入れられるじゃないですか。アップロードしている感覚を感じさせないインターフェースがよかったですね。
書類をスキャンしたデータやメールを保存したことで引き継ぎがスムーズに
――具体的な使い方を教えてください。
和智:まずは打ち合わせです。アシスタントが「今日は◯◯を確認してきてください」とノートに入れておいてくれるので、それを元に打ち合わせを進めます。打ち合わせでは、写真や音声録音も活用して、細かくなくてもいいので現場で内容を記録します。報告についてはテンプレートを活用することで、さらにスピード感を高めています。
打ち合わせの最後には、必ずクライアントの課題が見えてきます。それに対する指示もノートに書き込んですばやく共有するようにしています。最終的にそれがそのまま議事録として保存されていくというわけです。
――他にはどんなデータを入れていますか?
和智:お客さんごとにノートブックを分け、ScanSnap でスキャンしたデータ、メールなどを入れています。FAX や各種届出、手続書類の控えなどはすべて電子化し、必要なものだけ紙でとっておくようにしています。
業界的にとにかく紙が多くて、月に数千枚くらいにはなります。紙の電子化自体は 10 年ほど前からやっているのですが、今はそれを Evernote Business に入れるようにしているということです。
――クライアントを引き継ぐときにも便利ということでしたね。
和智:はい。クライアントの担当を引き継いだら、そのクライアントのノートブックを見ます。そこにすべてのデータ、議事録、やりとりが入っているので、だいたいことがわかるのです。
また、ノートは日付・会社名・ご担当者様のお名前をカタカナでタイトルに入れることをルール化しています。
名前をカタカナにするのは、「斉藤」「渡辺」など表記に揺れがある名前を検索しやすくするためです。何回も変換して検索を繰り返すのは時間がかかりますからね。
スタッフ間での齟齬がなくなり仕事がしやすくなった
――Evernote Business 導入の効果をどう感じていますか?
和智:クライアントとの打ち合わせの記録を共有できるようになったので、スタッフ間での齟齬がなくなりました。スタッフも仕事がしやすくなったのではないでしょうか。また、今まで 1 人あたり 30 社担当していたのですが、現在は 3 人で 90 社担当するという形に変えました。これなら、誰かが休んでも他の人がカバーできますよね。これも Evernote Business でクライアントの情報を共有するようになったことが大きいです。
――ちなみに、和智さん個人としてはどのようにお使いなのでしょうか。
和智:月一でメルマガを発行しているのですが、そのネタ探しをつねにやっていまして、思いついたら Evernote Business に溜めています。そのノートをメルマガ担当者と共有しているのです。
それから、スタッフに伝えたい知見やアイデアなどをメモとして保存しています。テキストで打つ時間がないときは音声録音の機能を使っています。これがけっこう便利なんですよ。
――最後に、Evernote Business 導入を検討されている企業にアドバイスをお願いします。
和智:直感的に使えますし、コストも高くないので、まずは考えすぎずに試しにやってみるといいのではないでしょうか。
――ありがとうございました。