掃除や片づけ、料理などの家事は、生活に欠かせない作業です。とはいえ、誰もが家事を得意にしているわけではありません。
物が多くて掃除や片づけが億劫になったり、料理をしようにも買ったはずのレシピ本がどこにあるかわからなかったり、お子さんの通う学校や自治体から届く書類の整理が面倒だったりと、家事に嫌気が差している方も少なくないでしょう。
そうした面倒な家事を Evernote で徹底的に効率化し、4 割もの時間削減に成功しているのが Chihiro さんです。Chihiro さんは、ヨガインストラクターと同時にお片付けコンサルタントとしても活動しており、時短家事に関するオンライン相談や訪問コンサルを行っています。
今回は Chihiro さんに Evernote を活用した時短家事のテクニックと、家事を効率化するための心構えについてお聞きしました。

<プロフィール>
新卒で IT 企業に入社後、引越しを機に公務員へ転職。IT 企業とのギャップを感じたことをきっかけに、仕事でも私生活でも効率化を追求し始める。2021 年に退職し、現在はメディカルヨガインストラクターとして活躍する傍ら、効率化のノウハウをもとに時短家事のアドバイスを行うお片づけコンサルタントとしても活躍している。
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IT 企業、公務員を経て独立
――Chihiro さんは現在、ヨガインストラクターとお片づけコンサルタントを両立してご活躍されています。現在に至るまでのご経歴を教えていただけますか。
Chihiro:新卒で東京の IT 企業に入社し、4 年弱勤務しました。その後、地元である大阪に帰ることに。出産を見越して、福利厚生や給与面で魅力的だった市役所に就職したのですが、それまで勤めていた IT 企業とは仕事の進め方に大きなギャップを感じていました。
IT 企業では効率化を重視して、様々な IT ソリューションを活用していましたが、市役所は紙ベースでまだまだアナログな環境です。業務を効率化させようとデジタルツールの導入を提案したりもしたのですが、変化を好まない組織体質もあり、効率化にも限界を感じていました。そういった経験から、退職を見越して勤務のかたわら整理収納アドバイザーの準 1 級とヨガインストラクターの資格を取得し、昨年とうとう思い切って退職しました。市役所でも社会貢献はできていたのですが、直接貢献できる仕事をしたいと考えていたので、そのタイミングでもともと友人たちから片づけや収納に関する相談を受けてアドバイスしていた経験もあったことから、お片づけコンサルタントとして独立しました。
――片づけや断捨離に Evernote をご活用いただいているとお聞きしました。Evernote を使い始めたきっかけについて教えてください。
Chihiro:Evernote を使い始めたのは、結婚した翌年の 2014 年からです。子どもが生まれると時間に追われることはわかっていたので、なるべく家事を効率化するためにいろいろと準備していた時期でした。たまたま読んだブログ記事で Evernote を知り、家事に役立ちそうだと思って使うようになりました。

本、インターネット、メモ――媒体の異なるレシピを一括管理
――Evernote の具体的な活用方法について教えていただけますか。
Chihiro:大きく 2 つの使い方をしています。まず、レシピの保存です。レシピ本やレシピサイトなどの内容を Evernote に保存し、献立を考えるときや買い物のときに見返しています。
――レシピサイトであればレシピを「お気に入り」に保存するような機能もあると思います。あえて Evernote に保存するのはなぜですか。
Chihiro:レシピを一括管理したいからです。私はいつも、週末に 1 週間分の献立を考えるのですが、その際にレシピが書かれている媒体がばらばらだとすごく時間がかかるんです。
たとえば、レシピ本を戸棚から出してきてぱらぱらめくって、その後レシピサイトをいくつも開いてお気に入りを確認して、最後に母直伝のレシピのメモを見て……。そんなふうに見て回るのは手間がかかりますし、作りたいレシピが決まっていても、「どこに載っていたっけ?」と探し回らないといけません。また、せっかくレシピ本を買ったのに、どこかにしまったまま忘れてしまって、活用できていないなんてことも珍しくないですよね。
すべての情報を Evernote に入れておけば、ノートをスクロールしながら流し見するだけで献立を組み立てていけますし、レシピが決まっているなら検索すれば出てくるので時短になります。
――動き回ったり探し回ったりしなくていいのは助かりますね。
Chihiro:Evernote にレシピを入れておくと、買い物のときも便利です。スーパーで「あの材料なんだっけ?」と思っても、Evernote にすべてのレシピが入っているので、すばやく確認もできます。大事なのは「 1 つの媒体に情報がまとまっていて、すぐに参照できる」ことなんです。

画像とテキストを一緒に保存することで「我が家の味」も記録
――レシピはどのような形式で保存されているのでしょうか。
Chihiro:レシピ本は写真を撮って保存、レシピサイトの場合はスクリーンショットを撮って保存しています。また、Evernote の優れた点だと思うのが、1 つのノートの中に画像とテキストを一緒に保存できる点です。
というのも、レシピ本にしろレシピサイトにしろ、レシピをそのまま活用するとは限らないからです。既存のレシピをもとに材料にアレンジを加えたり、家族の好みに合わせて味付けを調整したりすることもあります。たとえばレシピが「醤油おおさじ1」だけど、家族が濃い味好きなら、「醤油おおさじ 2 」のように訂正します。
このとき、画像とテキストを同じノートに保存できる Evernote なら、保存したスクリーンショットの下に「醤油おおさじ 2 」と入力しておけばいいだけです。他にも子どもの好き嫌いや、初めて食べたときの反応など、メモとして残しておきたい情報をすべて記録しておけます。
メモを手間なく残せるのは Evernote ならではのメリットだと思います。スクリーンショットをスマホのカメラロールに入れておくだけでは、同じ場所にテキストメモは残せませんからね。

――レシピはノートブックで管理されているのでしょうか。
Chihiro:はい。現状は「Recipe」「Pasta」「Sweets Recipe」という 3 つのノートブックで管理しています。パスタとそれ以外のレシピを分けているのは、夫の好物がパスタだからです(笑)。ここはご家庭によってもいろいろな分類の仕方があると思います。たとえば「肉料理」と「魚料理」でノートブックを作るのもいいでしょうし、忙しいときに便利な「時短レシピ」だけで 1 つのノートブックを作ってもいいと思いますね。
保育園のおたよりを保存、ママ友からも頼られる存在に
――ありがとうございます。もう 1 つの使い方についても教えていただけますか。
Chihiro:もう 1 つの使い方は、保育園の「おたより」などの紙類を保存することです。保育園からメールで配信されるおたよりや、紙で渡されるおたよりはすべて Evernote に保存しています。
特に、新年度は役立ちますよ。新年度が始まると、子どもに持たせるものが変わったりするのですが、Evernote があれば「上の子のときはどうしたか」がわかるので事前に準備ができます。また、ママ友から「 1 人目のお子さんのときはどうでしたか?」と質問されたときも、すぐに答えられます。
――紙類だと、たとえ保管していたとしても、どこにあるかわからなくなることも多そうですよね。
Chihiro:周囲のママ友からは、おたよりをもらってしばらく冷蔵庫に貼っているという話も聞いたことがありますが、問題はその後ですよね。ファイルに入れて保管していたとしても、何年も経ってから探すのは大変ですから。その点、Evernote なら検索で簡単に見つけられます。

物が減れば家事が楽になり、思考力にも好影響
――Evernoteに情報を保存すれば、紙類は捨ててもよさそうですね。
Chihiro:それも Evernote のメリットですね。私は紙類は絶対に残しておかないといけないものを除き処分しています。紙類がなくなると物が減って家がすっきりします。整理収納の考え方でも時々聞くフレーズなのですが、「物が減ると家事が楽になる」んです。
――どういうことでしょうか。
Chihiro:物が 1 つあるだけで、それを管理する時間がかかるからです。たとえば掃除を考えてください。掃除機をかけるのに物があると、その物をどける必要がありますよね。物がないだけで、掃除機がけもスムーズになります。
そもそも、人間は視界に物が入るだけで、脳のメモリを消費するそうです。自分では意識していないつもりでも、情報が脳に届いてしまって、疲れてしまうのです。物がなくなるだけで、脳のリソースを使わずに済み、思考がクリアになる効果が得られます。
――とはいえ、なかなか物が捨てられないという人もいます。
Chihiro:その気持ちもわかります。人間は「捨てる」という行為に心理的抵抗を感じる生き物だからです。せっかく手に入れたものを手放すのが惜しいと思ってしまうんです。
それなら、「捨てる」のではなく、フリマアプリなどを活用して譲ってみてはいかがでしょうか。捨てるよりは抵抗がないと思います。また、1 日に 1 つ、何でもいいので捨てることをおすすめします。レシートでもごみでも何でも構いません。1 つだけ、物と向き合う時間を作るのです。
よく、「 1 つ物を買ったら 1 つ捨てる」といわれますが、1 つ物を買ったら 2 つ捨ててみましょう。それから、「買う前に捨てる」ことも大事です。捨てる前に買ってしまうと、捨てようと思っていても惜しくなって、捨てるのをやめてしまうことがあるからです。
そうやって物を減らすことに慣れていくと、だんだん捨てることに対するハードルが下がります。同時に家事が楽になった実感が得られると思います。

――最後に、本記事をご覧になった方へメッセージをお願いします。
Chihiro:Evernote はビジネス向けのツールだと思われがちかもしれませんが、私生活や家事にもとても有効なツールです。私自身は、Evernote で家事を効率化した結果、以前と比べて家事の時間を 4 割ほど削減できたと感じています。
特にお子さんがいらっしゃるご家庭では、自分の時間が持てないことを当然だと思ってあきらめている方も多いのではないでしょうか。でも、そんなことはないんです。Evernote を活用するなど、工夫次第で自分の時間も作れます。
新しいツールを使うのは心理的なハードルが高いかもしれませんが、Evernote はそのハードルを越えるだけのメリットがあります。ぜひ使ってみてほしいと思います。
――ありがとうございました。