2023/04/28

Evernote の価格プラン改定と今後の機能強化に関するお知らせ

Evernote で製品開発部のリーダーを務めているフェデリコです。皆さまもご存知かと思いますが、年 明けに Evernote の所有権が Bending Spoons に移りました。それ以来、10年以上も生産性向上 ツールの代名詞として活躍しており、今後の活躍も目を見張るものになるであろう、この伝説の製品 について、ありとあらゆる情報を把握できるよう努めています。

当社では、どのような点で改善が必要か、また、製品の操作体験を向上させ上で何が必要かを把握 するため、皆さまから受け取ったレビューやメールのすべてに目を通し、熱心な Evernote ユーザと の意見交換セッションを開催しています。

平たく言うと、ワンランク上の利便性を Evernote ユーザの皆様に提供することで頭がいっぱいなの です。

本日は、Evernote の価格プランの改定や同期、パフォーマンス、安定性などの機能強化に加え、同 時編集、AI ノートクリーンアップ、AI 検索などの心躍る新機能まで、今後数か月以内に予定している 変更についてお話しいたします。また、Bending Spoons についても少しご紹介させていただきます。

プランと価格

まずは、最も語り難いことから始めましょう。Evernote のプラン料金を値上げさせていただきます。改 定後のプラン料金の概要は以下の表をご覧ください。詳細なプラン料金については、こちらのリンク からご覧いただけます。

Evernote Personal の料金

CurrencyUSDAUDBRLCADEURGBPJPYKRW
Monthly subscription14.9917.9929.9017.9912.998.99110010500
Yearly subscription129.99159.99264.90159.9999.9979.99930099000

Evernote Professional の料金

CurrencyUSDAUDBRLCADEURGBPJPYKRW
Monthly subscription17.9922.4932.9022.4914.9913.49155013500
Yearly subscription169.99209.99329.90209.99129.99104.9912400125000

新規でご登録いただく場合は、5 月 1 日より改定料金が適用されます。すでにご利用いただいてい るお客様の場合は、次回更新日より改定料金が適用されます。影響を受けるお客様については、更 新日の 28 日前にお知らせいたします。

料金の値上げに不満を覚えるお客様も多くいらっしゃると思いますが、約 7 年ぶりとなる今回の値上 げは、ほとんどのお客様にとって初めての経験となります。以下の表からもお分かりいただけるよう に、この 7 年間で Evernote のサービスは大きな発展を遂げました。今回の値上げにより、インフラ ストラクチャや製品開発といった最も重要な部分を大きくレベルアップすることができ、より便利な機 能や安定したパフォーマンスをお客様にお届けできるようになります。

2016 (previous price increase)2023
Note editingBasic formatting toolsAdvanced formatting
Semantic styles
Template gallery
ProductivityNote reminders
Checkbox
Note reminders
Tasks (and multiple Task reminders)
Calendar integration
Home
Backlinks
AI Note Cleanup [BETA]
CollaborationNote and Notebook sharingNote and Notebook sharing
Teams spaces
Real-Time Editing
SearchSearch
Filters
Optical Character Recognition
Search
Advanced Filters
Optical Character Recognition
AI Search [COMING SOON]

パフォーマンスと安定性の向上

ここからは今後 Evernote でリリースされる主な機能強化や追加機能についてお話しします。

当社が行った調査によると、ユーザが最も不便に感じる点は同期時のパフォーマンスと安定性でした。この点についてはEvernote がノートを同期する方法について重要な構造的変更をリリースし始めており、すぐに対応させていただきます。期待通りに機能していることを確認しながらの段階的なリリースになりますが、同期がスムーズになったことを実感しているユーザもいらっしゃるかと思います。当社では、できるだけ迅速かつ合理的に今後のリリースを進められるよう努めており、5 月 5 日にはすべての Evernote ユーザにおいて、ノートの競合頻度が大幅に減る(多くの場合で完全になくなる)予定です。また、新規ノートの端末間での同期をさらにスピードアップするための変更を間を置かずにリリースできるように取り組んでまいります。

同時編集

最初にご紹介する新機能は同時編集。5 月 5 日からご利用いただけるようになります。同時編集は、すでにご説明した同期機能の改善を前提に構築されており、スマートフォンで打った文字がノートパソコンで開いている Evernote にもすぐに反映されるようになります。そしてついに、ノートを共有した相手と同時に編集できるようになりました!複数の端末で編集したいユーザやノートを共有したいユーザ、とりわけ Teams をお使いのユーザにとって大変便利な機能です。

気になる方は、ページ最後の追加情報セクションで技術情報をご覧ください。こういったアプリ内の微調整に関心がない方は読み飛ばしていただいて構いません。

人工知能(AI)

最近のニュースでは、大きな可能性と同時に深い懸念を伴う AI が論争を呼んでいます。AI による懸念はプライバシーやセキュリティの範囲のみに収まりません。ユーザのためではなく、イノベーションを起こすためだけに開発された、派手なだけで役に立たない機能を増やしてしまう可能性があるのです。

当社の AI 機能は選択ベースとなりますのでご安心ください。お客様が Evernote に明示的に意思表示をしない限り、お客様のデータが AI モデルに処理されることはありません。また、AI の利用を選択された場合であっても、データの管理はご自分で行っていただけます。お客様のデータは設計時点およびデフォルトで採用されているプライバシーの原則に基づいて、当社が安全に保護し、公開されることはありません。

適切な管理さえ行っていれば、AI がもたらす可能性は無限大です。当社では、お客様の日々の生活が楽になるような方法で AI を Evernote に取り入れられるよう取り組んでおります。今回ご紹介する新機能でも、お客様の生活が楽になると自負しておりますので、このまま読み進めていただき、詳細をご覧ください。

AI ノートクリーンアップ

AI ベースの機能として 5 月から段階的にご利用いただけるようになるのが、AI ノートクリーンアップです。重要な会議で必死にノートをとった後、何時間もかけて議事録をまとめた経験はないですか?AI ノートクリーンアップを使用すれば、この退屈で時間のかかる作業を代わりにやってもらえます。この機能はすべてのユーザに 1 ヶ月間、無制限でご利用いただけ、その後は有料プランのユーザ限定の機能になります。

個人の感想:ここ数週間の間、この機能のプロトタイプを使用して一部のノートのクリーンアップを行いましたが、これまでこの機能を使用せずにノートをまとめていたことが信じられません。皆さまも同じような感覚を実感していただけると思います。

AI 検索

次にご紹介する AI ベースの機能は特に高度な技術を必要とするものです。正式な名称が決まるまでは AI 検索と呼んでおきましょう。この機能を使用すると、テキスト入力を通じて自然な言語で直接 Evernote アプリに質問を投げかけることができ、ノートの内容に基づいて即座に回答を得られます。

Evernote ユーザの皆さまから最も多くの要望を寄せられている「検索機能」を大幅に改善できることに非常にワクワクしています。ただし、先述の通り、プライバシーに関する懸念があるため、慎重かつ丁寧に進めさせていただきます。この機能については現在開発チームが熱心に取り組んでおり、今年の後半にリリースする予定です。

Bending Spoons

ここからは Bending Spoons について少しご紹介させていただきます。Evernote を成功に導くことに重点を置いていたため、ご紹介が遅れてしまいました。

Bending Spoons はまだ世界的には知られていない存在ですが、ヨーロッパでは高い評価を受けています。世界中で愛される製品をお届けすることに熱心に取り組む当社のアプリは、ヨーロッパ以外でも 5 億人のユーザにご利用いただいており、その多くが有料プランのユーザです。

Evernote の買収はこれまでで最も規模の大きな買収ですが、すでに多くのユーザにご愛用いただいている製品をさらにレベルアップした実績が当社にはあります。2018 年に GoPro から買収した Splice がいい例です。買収以来、ユーザの満足度を大幅に改善し、何十もの最新機能を実装したことで、世界で最も使用されているモバイル動画エディタの 1 つに成長しました。年額 $89.99 または週額 $4.99 から使用できる Splice は、プロ・アマを問わず、コンテンツクリエイターの皆さまに大きな価値をもたらしています。1 億人以上のユーザが動画の作成や共有に Splice を使用したことがあり、10 億人以上の視聴者にアプローチしています。また、当社チームはお客様を喜ばせるため、今後もたゆまぬ努力を続けていきます。

Splice と Evernote の活用分野はまったく違うものですが、共通点もいくつかあります。アプリの内部で複雑な技術を使用しているだけでなく、激しい競争に晒されており、世界中で愛される製品でなければ、生き残れない可能性が高くなります。

おわりに

Bending Spoons は 4 ヶ月ほど前、生産性を向上させたいユーザにとって最も便利なアプリに Evernote を導く立場に就きました。先にご紹介したイノベーションや取り組みを今後続けていくことをご理解いただけたことで、Evernote の未来に大きな期待をお寄せいただければ嬉しいです。当社が今後取り組むのは壊れたものを治す作業ではなく、Evernote の操作体験を大きく改善する取り組みですが、百聞は一見にしかず。今後ご利用いただく中で、Evernote がいかに便利であるかを実感していただけるよう努めてまいります。

製品の改善や機能の追加についてご意見をお聞かせください。フィードバックは federico@evernote.com までメールでご連絡いただけます。返信を確約することはできかねますが、メッセージにはすべて目を通させていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。

フェデリコおよび Evernote チーム一同

同時編集の仕組み(技術情報)

新しい Conflict-free Replicated Data Types(CRDT:並列編集しても競合しないデータ構造)を採用し、このデータ構造を実装したものである Yjs に新しいノートシステムを構築しました。以前の HTML 形式ではノートが競合の影響を受けやすかったのですが、新たなノートシステムでは、常に競合を解消するように設計されています。更新が同時に行われても、また、オンラインの端末とオフラインの端末があっても、複数の端末からのさまざまな更新内容をマージできます。

CRDT を利用すると、クライアントは各編集時に更新内容を生成し、サーバに送信します。サーバは、ある端末で編集されている内容が他の端末で編集されるのを防ぐという(バグの発生につながる)難しい状況を管理する必要がなくなります。代わりに何を行うかと言うと、更新内容を受け取って、同じノートに接続されているクライアントすべてに送信します。ユーザが複数であろうが、1 人のユーザが複数の端末を操作しいていようが関係ありません。これにより、バックエンドのロジックが大幅に簡素化され、スピードと安定性が向上します。